セッション情報 シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎治療の新展開

タイトル 肝S7-2:

C型慢性肝炎に対するTelaprevir/PEG-IFN/RBV 3剤併用療法の有効性と安全性 -多施設(九州C型肝炎研究会)共同研究-

演者 井戸 章雄(鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 中牟田 誠(国立九州医療センター・消化器内科), 田中 基彦(熊本大・消化器内科)
抄録 【目的】九州C型肝炎研究会において実施されているC型慢性肝炎に対する3剤併用療法の多施設共同研究の成績を報告する.【方法】2011年12月より2012年12月までに3剤併用療法が開始された393例を対象として,下記の項目について検討した.1) 臨床背景,2) HCV消失率(前治療効果別・IL28B遺伝子多型別・ITPA遺伝子多型別・コア蛋白変異AA70別),3) 主な有害事象【結果】1) 平均年齢57.8歳,性別は男性:女性=205例:179例 (不明:9),初回:再燃:無効=164例:120例:62例 (不明:47例),Telaprevir (TVR)の投与量 (導入時)は2250mg:1500mg:1000mg:750mg = 210例:172例:6例:1例 (不明:4例)であった.宿主因子ではIL28B TT:TG/GG (n=360) = 258例:102例,ITPA CC:CA/AA (n=196) = 143例:53例,ウイルス因子ではISDR (wild/intermediate/mutant/mix) (n=122) = 40例:33例:10例:39例,コア蛋白変異AA70 (wild/mutant/拮抗型) (n=276) = 179例:93例:4例であった.2) 393例中,治療開始から24週以上の観察可能症例は305例で,うち治療中止例は35例で,完遂率は88.5%であった.全体のHCV陰性化率は4週 77.3%,12週 96.3%,治療終了時 96.2%,治療終了後4週 (SVR4) 90.7%であった.SVR4は前治療効果別では初回例 94.9%,再燃例 97.9%,無効例 73.9%,IL28B遺伝子多型別ではTT 91.8%,TG/GG 82.8%,ITPA遺伝子多型別ではCC 76.2%,CA/AA 100%で,TVR 1500mg導入例におけるSVR4は 91.7%であった.3) 主な有害事象として皮膚症状 58.2%,貧血(Hb≦10g/dl) 64.5%,腎機能障害(eGFR≦50ml/min./1.73m2) 37.4%,高尿酸血症(UA≦7.0mg/dl)76.7%がみられた.【結論】3剤併用療法ではTVR減量投与例および1500mgIL28B TG/GG例でも高いSVR4が得られている.一方,ITPA CC例のSVR4は低いことから投与量を調整して有害事象を回避して治療継続することが重要と考えられる.今後,治療終了後24週のHCV陰性化率等に寄与する因子について検討を追加する.
索引用語 KCK, 3剤併用療法