セッション情報 シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎治療の新展開

タイトル 肝S7-5:

IL28B GenotypeとISGs発現量を用いたテラプレビル併用抗HCV療法の効果予測と治療期間に関する検討

演者 島上 哲朗(金沢大大学院・消化器内科学)
共同演者 酒井 明人(金沢大大学院・消化器内科学), 金子 周一(金沢大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】我々は,C型慢性肝炎に対するPEG-IFNα2b(PEG)/Ribavirin(RBV)療法においてIL28B Genotypeと治療開始前の肝臓におけるInterferon Stimulated Genes(ISGs)発現量が治療効果予測に有用であることを報告してきた(Gastroenterology,2011).今回我々はテラプレビル併用3剤療法におけるIL28B GenotypeとISGs発現量を用いた治療効果予測とそれに基づく至適治療期間に関して検討した.【対象・方法】Serotype1,高ウイルス量のC型慢性肝炎患者を対象とした.治療開始前にIl28B Genotype(major:rs8099917:TT,minor:TG/GG)を決定し,さらに肝生検組織よりRNAを抽出し,3種のISGs(Mx1,IFI44,IFIT1)の発現量をPCR法にて定量化した.尚,遺伝子検査に関しては,金沢大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の承認を受け,患者同意を得た上で施行した.また肝生検未施行の症例に関しては,肝内ISGsとの相関が示されているγ-GTP値を代用した.テラプレビルの12週間投与に加えてIL28B major・ISGs低値群は,PEG/RBV(PR)24週,IL28B minor・ISGs高値群はPR48週,IL28B major・ISGs高値群およびIL28B minor・ISGs低値群はPR24週と48週へ無作為割り付けを行った. 【結果】当院および関連施設において117例のエントリーが行われた.IL28B major群ではISGs値に関わらず,良好な抗ウイルス効果を認めた.(ISGs低値群57例,RVR 100%, SVR12 100%,ISG高値群 14例 RVR 100%, SVR12 100%).一方,IL28B minor群では, ISGs低値群(9例)でRVR 80%,治療終了時陰性(EOT) 100%,1例のbreakthroughを認め,さらにISGs高値群(32例)で,RVR 82%,EOT 33%,25%(8例)の無効・breakthroughを認めた.【考案・結語】3剤併用療法においてIL28B major群では,ISGs発現量は,無効・breakthroughに関与しなかった.しかし,IL28B minor群においては,ISGs高値群において無効・breakthroughが多い傾向を認めた.特にIL28B minor症例においては,ISGs発現量は治療効果の予測に極めて有用と考えられた.さらに,IL28B genotypeとISGs発現量を指標とした長期投与の有効性に関しても現在検討中である.
索引用語 C型慢性肝炎, テラプレビル