セッション情報 |
シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)
C型肝炎治療の新展開
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タイトル |
肝S7-7:発がんリスクを考慮したテラプレビル3剤併用療法の適応と治療効果
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演者 |
朝比奈 靖浩(東京医歯大・消化器内科DELIMITER東京医歯大・肝臓病態制御学) |
共同演者 |
中川 美奈(東京医歯大・消化器内科), 渡辺 守(東京医歯大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】抗ウイルス治療例の発がんリスクを検証し,テラプレビル(TVR) 3剤併用療法の効果と安全性から発がん抑止を目指した治療戦略を検討した.【方法】[1] PEG-IFN±RBV療法施行536例(中央値56歳,M/F=281/255,1b/others=356/180)のコホートを対象とし,治療効果と発がん率を検討した. [2] TVR 3剤併用療法を施行したC型慢性肝炎202例(中央値59歳,M/F=125/77)を対象とし,IL28Bおよびウイルス・宿主因子と治療効果および安全性を解析した.また,HCV NS3耐性プロファイルをdeep sequenceにより経時的に解析した.【結果】[1] NR,TR,SVRの累積5年発がん率は,それぞれ4.3%,2.6%,1.0%とNR例で有意に高く(p=0.041),発がん例は有意に高齢で血小板低値であった.一方,非SVRでも治療後ALT低値例では発がんが低率であった.[2] TVR 3剤併用療法のSVRは88%(96/109)で,高齢者(65歳以上)でも非高齢者と同等で(86% vs. 89%, p=0.737),70歳以上の全例で (11例) SVRが達成された.高齢者は,非高齢者に比較し1500mg導入例や(39% vs. 20%, p=0.046),前治療再燃例(60% vs. 34%, p=0.022)が有意に多く,1500mg vs. 2250mg = 89% vs.88%と1500mg導入例でも同等の治療効果が得られた.SVR関連因子は,単変量解析で前治療歴(p=0.004),γGTP(p=0.032),コア70変異(p=0.032),IL28B(p=0.001)が有意で,多変量解析ではIL28B(p=0.016,OR 46.5),コア70変異(p=0.036,OR 13.2)が抽出された.副作用による3剤中止率は10%であったが,非高齢者でも重篤なものがあった.Deep sequenceによる経時的解析では,治療前に認められた耐性変異と再燃時に優勢になる耐性変異は必ずしも一致せず,治療終了24週後でも検出された.【考察】TVR 3剤併用療法は副作用及び耐性ウイルスの危険を考慮し慎重に適応を決定すべきである.発がんリスクの高い高齢者でも,前治療歴および宿主・ウイルス因子により十分な治療効果が予測されれば,投薬量調整と副作用対策を十分講じることで,良好な治療効果が期待できる. |
索引用語 |
テラプレビル, 高齢者 |