セッション情報 |
シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)
C型肝炎治療の新展開
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タイトル |
肝S7-8:Peg-interferon・Ribavirin先行投与の反応性に基づくC型肝炎の治療法選択と抗ウイルス治療による発癌抑止効果の検討
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演者 |
黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
共同演者 |
鈴木 祥子(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
抄録 |
【目的】次世代HCV治療薬の臨床導入を視野に入れ治療要求度と治療効果予測を勘案した治療法選択が求められる.Telaprevir(TVR)併用の治療効果はPeg-interferon・RBV(PR)併用に対する反応性に依存するため,本研究ではPR Lead-inによるTVR治療効果予測について検討した.またTVR使用が困難な高齢者に対するinterferon(IFN)治療の発癌抑止効果を検討した.【方法】TVR3剤併用の開始前に4週間のPR Lead-inを施行した47例を対象とし,Lead-in 4WのHCV減衰と,TVR add-on後のHCV陰性化率,SVR4の関連を検討した.65歳以上のC型慢性肝炎301例に対するIFN単独,PR併用の発癌抑止効果を検討した.【成績】平均年齢は59歳,IL28B Major 89%,Core70野生型 84%であった.ROC解析によりTVR add-on後day1,day7のHCV陰性化予測の最適cut off値はLead-in 4WのHCV減衰3.3 Log,2.0 Logであった.Lead-in 4WのHCV 減衰3.3 Log以上ではTVR add-on後のHCV陰性化率はday 1/day7で59%/94%,SVR4は100%に対し,Lead-in 4WのHCV RNA減衰2.0 Log未満では,day 1/day7で0% / 38%,SVR4は25%であった.Lead-inのHCV減衰が0.8 Logの反応不良例でT54A変異によるbreakthroughをきたした.PR2剤併用のresponse guide治療では,4WのHCV減衰3.3 Log以上のSVR24は79%に対し2.0Log未満のSVR24は24%であった.65歳以上の3/5/7年累積発癌率は4%/14%/25%と高率だが,IFN単独治療/PR併用療法が非著効でもALT正常化率は43%/52%,AFP正常化率は45%/51%であり,ALT正常化例の74%,AFP正常化例の87%で5年後も正常値が持続した.抗ウイルス治療が非著効でもAFP<10ng/ml (HR 0.48),ALT <40IU/L (HR0.43)になれば発癌率が減少した.【結論】PR Lead-inの反応性は,TVR併用の治療効果や耐性変異リスクと関連し,薬剤選択の判断指標となる.TVR使用困難な高齢者でも抗ウイルス治療によりALT,AFPを正常化すれば発癌リスクは減少する. |
索引用語 |
HCV, Telaprevir |