セッション情報 シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎治療の新展開

タイトル 肝S7-9:

発癌リスクと宿主・ウイルス遺伝子からみたC型肝炎治療

演者 坂本 穣(山梨大附属病院・肝疾患センター)
共同演者 前川 伸哉(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科)
抄録 【目的】C型肝炎治療は急速な進歩を遂げ副作用の少ない次世代Protease Inhibitor(PI)や経口剤の実用化も近い一方,発癌まで猶予のない症例も存在する.そこで発癌リスクをTransient elastgraphy(TE)から,治療反応性をウイルス因子・宿主因子から評価し現時点での治療方針を検討した.【方法】1)発癌リスクの検討:PEG-IFN(P)+Ribavirin(R)治療後3年以上経過観察可能であった391例とTEを施行し2年以上経過観察した471例を対象とした.2)治療反応性の検討:2003年12月から当科および関連施設で開始したP+R1087 例,P+R+Telaprevir(T) 43 例,55±10(17-81)歳,M/F=651/479,1b/2a/2b/他=744/204/148/34を対象とし,HCV変異(ISDR/IRRDR/コアアミノ酸),IL28B・ITPA SNPsを含む宿主因子を検討した.【結果】1)発癌リスクは非SVR(HR 5.0,p=0.002),男性,≧65歳,AFP≧4.7であったがSVR達成により<65歳,AFP≧4.7で発癌リスクが低下した.非SVR例に限るとIL28B TG+GGが寄与因子(HR 4.9,P=0.01)であった.2)TEによる前向き検討では次世代治療までの2年以内の発癌は13.1KPa≧/<で7.0%/0.7%で(p=0.0009,log-rank test)で,治療待機選択の有用な指標になりえた.3)P+R+PIはP+R効果と関連しP+R NVRはIL28B TG+GG,IRRDR変異数≦2で含PI 3剤治療でも難治,P+R SVRは IL28B TT,≦60歳,IRRDR≧3(P<0.005)で副作用懸念例ではP+R選択可能,これ以外はP+R+PI適応例と考えられた.4)P+R+TのSVR12率は81%(21/26)であり,いずれもIL28B TTもしくはIRRDR≧4で宿主・ウイルス因子が関連した.T中止率は23%(10/43)に上りTENを含めた皮疹・貧血・鬱などであった.【結論】IL28Bを含めた宿主因子とISDR/IRRDRなどウイルス因子による治療反応性と,TEを含めた発癌リスクを考慮することで現治療適応例と治療待機可能例が予測可能となり,個別化医療の道が開ける.
索引用語 C型肝炎, 発癌