セッション情報 シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎治療の新展開

タイトル 肝S7-10:

TVR/Peg-IFN/RBV併用療法時のTVR・RBV至適投与量の検討

演者 狩野 吉康(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
共同演者 小関 至(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)), 豊田 成司(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
抄録 【目的】TVRを含む三剤併用療法においては重篤な副作用を回避して治療を完遂するため,個々の症例に最適な薬剤投与量の設定が望まれる.高度の貧血と腎機能障害を回避し,治療を完遂するためのTVRとRBVの用量設定を試みた.【方法】三剤併用療法を施行したC型慢性肝炎62例(男34例,女28例,IL28B genotype: Major 41例,Non-major 21例)を対象とした.薬剤の投与量は平成24年度の厚労省のガイドラインに準じた.(1)三剤併用療法後の高度の腎機能障害を治療1週目のeGFR低下≧30%と定義し,ROC解析からTVRの比体重投与量のcutoff値を求めた.(2) 三剤併用時にはTVRが誘因となる腎機能障害によりRBV血中濃度が上昇すること,RBVの全身クリアランス低値例ではHb低下がより高度であることを考慮し,試案RBV投与量=体重ベース投与量-200mg-200mg(if CL/F<12L/hr)を設定し実際の投与量と経時的に比較した.【成績】(1)TVRの比体重投与量は19.2mg/kgから48.5mg/kgに分布した.IL28B major 85%,non-major 67%で4週HCV RNA陰性化(RVR)を達成したが,比体重投与量とRVR達成に関連を認めなかった(平均TVR量:RVR例 30.2mg/kg,非RVR例 30.1mg/kg).(2)治療1週目のeGFR低下≧30%の症例ではTVR休薬に該当するHb8.5g/dl未満への低下を15例中8例(53.3%)に認め,RBV血中濃度もeGFR低下30%未満の47例に比較し有意に高値であった(4週目3095ng/ml vs 2150ng/ml P=0.0295).eGFR低下≧30% のROC解析ではAUC 0.778,cutoff値は35.8mg/kgであった(感度53.3%,特異度95.7%).(3)RBV試案投与量と実投与量の経時的な比較では,治療開始時は92%の症例で実投与量>試案投与量であったが,12週時には実投与量>試案投与量は10%のみで,60%が実投与量<試案投与量であった.この傾向は2250mg投与例でより顕著であった.総RBV投与量は(実)522mg/kg,(試案)580mg/kgであった(有意差なし).【結語】症例別の薬剤投与量の設定には,腎機能障害を考慮した体重ベースのTVR投与,貧血を考慮したRBV全身クリアランスベースのRBV投与が有用である.
索引用語 テラプレビル, リバビリン