セッション情報 シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎治療の新展開

タイトル 肝S7-14:

生体肝移植後C型肝炎再発に対する治療戦略

演者 吉住 朋晴(九州大・消化器総合外科)
共同演者 調 憲(九州大・消化器総合外科), 前原 喜彦(九州大・消化器総合外科)
抄録 (はじめに)C型肝炎に対する生体肝移植後の肝炎再発はほぼ必発であるが,その治療は容易ではなく,また治療法に関する一定の見解は得られていない.(対象と方法)C型肝炎に対して生体肝移植を施行した153例.組織学的C型肝炎再発を認めたものにペグインターフェロン(PEGIFN)・リバビリン(RBV)療法を行っており,VR後48週継続治療を基本としている.(結果)94例(1型82例,2型12例)にPEGIFN・RBV療法を行った.治療によるEVR率は20.2%,VR率は58.5%,SVR率は47.8%であった.SVR(n=45)となった症例の内,EVR-SVRは20例(44.4%)であり,半数以上の25例(55.6%)はdelayed VR後に48週以上の治療を追加した症例であった.PEGIFNα-2b・RBV療法によりVRが得られなかった症例のうち,17例で二次治療としてα-2a型へのconversionが行い,このうち4例(23.5%)でVRが,3例(17.6%)でSVRが得られた.1b型症例の内,49例でドナー・レシピエントのIL28B-SNP解析が可能であった.IL28B major/major群(n=29)およびmajor含有群(n=20)のSVR率はそれぞれ68.9%および15.0%であった.また,major/major群の内,AA70/91(double wild=1),ISDR(変異2個以上=1),IRRDR(変異6個以上=1)で解析すると,合計ポイント0(n=5),1(n=12),2(n=10),3(n=2)それぞれのSVR率は40.0%,66.7%,80.0%,100%であった.またdelayed VR症例の内,majorは19症例,minorは6症例であるが,major群のSVR率は15/19=78.9%,minor群のSVR率は33.3%であった.また,胆汁鬱滞性肝炎を5例に発症したが,全例で上記治療にてVRが得られた.移植後2週間目のHCV-RNA>7.2 logIU/mLは胆汁鬱滞型再発の危険因子であった.(まとめ)生体肝移植後C型肝炎再発に対するIFN・RBV療法の治療成績は向上してきた.特に,IL28B-SNPがmajor/major群ではSVR率が高く,EVRが得られない症例でも継続治療によるSVRが期待できる.
索引用語 生体肝移植, C型肝炎