セッション情報 |
シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)
C型肝炎治療の新展開
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タイトル |
肝S7-15:肝移植後C型肝炎に対するテラプレビルを含む3剤併用療法
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演者 |
上田 佳秀(京都大・消化器内科) |
共同演者 |
増田 智先(京都大附属病院・薬剤部), 上本 伸二(京都大・肝胆膵・移植外科) |
抄録 |
【目的】肝移植後C型肝炎に対するペグインターフェロン(PEG-IFN)+リバビリン(RBV)治療は効果が低く有害事象が多いことが明らかになっている.そのため,テラプレビル(TVR)を含む3剤併用療法による治療効果向上が期待されていたが,TVRは薬物代謝酵素CYP3A4/5に対して強い阻害作用を有するため,移植後患者に用いられるカルシニューリン阻害剤の血中濃度を顕著に上昇させることが問題とされる.今回,薬物相互作用の問題を克服し,肝移植後C型肝炎に対するTVR/PEG-IFN/RBV治療法を確立することを目的とした.【方法】肝移植後C型肝炎症例8例に対して以下の3段階の方法にて治療導入を行った.1. タクロリムスからシクロスポリン(CyA)へのコンバート,2. TVR開始とCyA血中濃度調節,3. PEG-IFN/RBV開始.それぞれの段階にてCyAとTVRの血中濃度の日内変動を測定した.【成績】タクロリムスからCyAへのコンバートは,全例で拒絶反応を生じることなく,中央値9日(7-13日)で血中濃度の安定化が可能であった.TVR導入によってCyAの血中濃度の上昇と半減期の延長を認めたが,CyA内服量の減量と投与間隔の延長にて血中濃度安定化が可能であった.安定化までの期間は中央値8日(6-14日)であり,CyAの内服量は中央値でTVR開始前の33%(25%-50%)に減少した.血中濃度安定化後にPEG-IFNとRBVの導入を行った.全例で全身倦怠感,貧血,高尿酸血症,腎障害の有害事象を認めたが,治療継続可能であった.有害事象はテラプレビル血中濃度が高い症例で強い傾向にあった.血中HCV-RNAは全例で7週以内に検出感度以下となり,IL28Bの遺伝子多型major症例ではより短期間でウイルス陰性化を達成できた.【結論】薬物血中濃度モニタリングと投与量の調節により,肝移植後C型肝炎に対するTVRを含む3剤併用療法の安全かつ効果的な導入が可能であった.この経験は今後使用可能となる他のDAA製剤も含め,薬物相互作用を克服するモデルとなると考えられる. |
索引用語 |
肝移植, C型肝炎 |