抄録 |
難治性C型肝炎に対して,現在数多くのDAA製剤の開発が行われ,IFN freeのDAA combinationの臨床試験も進んでいる.しかし,高齢者や線維化進展例などの高発癌リスク群では,より早期のHCV排除が必要である.2011年に保険認可されたTVR/ Peg-IFN/RBV併用療法では,Peg-IFN/RBV併用療法に比し,治療効果は向上するが,副作用の増強が懸念される.今回,OLF参加施設においてTVR/PEG-IFN/RBV併用療法を開始したGenotype1型C型肝炎175例(男性/女性: 97/78例,平均年齢:60.2±8.6歳,初回治療/再燃/無効:60/74/34, TVR開始量2250mg/1500mg: 100/75)を対象として,Real-worldにおけるTVR/Peg-IFN/RBV併用療法の抗ウイルス効果と副作用について検討した.ITT解析におけるSVR12は79%であった.SVRに関する単変量解析では,前治療効果とRVRの有無が有意な因子であったが,TVR投与量別(mg/kg/day)のSVR率には差は認めなかった(≧40, 88%, 25-40, 83%, <25, 78%).一方,TVR中止は全体で27%に認めた.TVR中止因子の検討では,高齢(≧65 v.s <65, p=0.008),TVR高用量群(≧40 mg/kg/day)で有意に中止率が高かった(v.s 25-40, p=0.01, v.s <25, p<0.001).以上により,高齢者や低体重症例ではTVR減量投与を考慮に入れる必要があることが示唆された.一方,Genotype1型初回投与92例を対象とした第2世代Protease阻害剤であるSimeprevir(TMC435)(50mgまたは100mg/日,12週または24週投与)+Peg-IFN/RBV24週併用の国内臨床試験では,SVR率は全体で80%(63/79),副作用中止率は10%(8/79)であり,Peg-IFN/RBV併用48週投与の46%(6/13),15%(2/13)に比し,SVRは高率であり,副作用の増強を認めなかった.また,Direct sequenceによる治療前のNS3遺伝子変異の検討では,S122G,S122T,Q80Lが主要なものであったが,いずれもSimeprevirの感受性への影響を認めなかった.本シンポジウムでは,肝発癌リスクを考慮に入れた現時点での治療方針について発表したい. |