セッション情報 シンポジウム7(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎治療の新展開

タイトル 肝S7-17:

C型慢性肝炎に対するDAA製剤の治療成績

演者 鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 芥田 憲夫(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対する治療は,Telaprevir(TVR)をはじめとするDAA製剤が,中心となっている.現在行われているTVRとPeginterferon(PEG),Ribavirin(RBV)併用療法の治療成績を検討した.さらにIFNを使用しないDAA2剤併用療法の成績を検討した.【方法】(1) PEG/RBV/TVR治療;対象は,当院にて第III相試験を行った61例(Group A)と製造販売後治療を開始し12週以上経過した172例(Group B)の合計233例である.Group BではTVR開始時の投与量は2250mg/日66例,1500mg/日106例であった.1500mg投与群と2250mg投与群の背景は1500mg群で女性が多く(54%:8%),年齢が高く(62:55yr),体重が少なく(57:69Kg),Hb値が低かった(14:15mg/dL).(2)Daclatasvir+Asunaprevir24週間併用療法を施行した23例(naïve 12例,IFN null responder 11例)を解析した.【成績】(1)Group AとBを合わせてSVR12の判定可能な症例は200例であった.全体のSVR12は83%(166/200)であり,前治療別ではnaïve例88%(56/64),relapse例89%(82/92),non-responder例63%(27/43)であった.IL28BがTTでは94%,TG/GGでは54%であった.(P<0.0001) TVR1500mg群と2250mg群のSVR12は,いずれも83%であった.多変量解析でSVR12に寄与する因子はIL28B/TT(P<0.001),男性(P<0.001),治療完遂(P=0.002)であった.またIL28B/TG,GG群でSVRに関係する因子は男性,Core aa70(wild),PEGおよびRBV adherenceの高値であった.(2)23例中17例(74%)でSVRが得られた.IL28B,Core領域に関係なく前治療null responderでもSVRが得られた.投与中または終了後ウイルスの再出現が認められた4例中3例で開始時HCV NS5A領域のL31MまたはY93Hの耐性ウイルスを認めていた.一方開始時のNS3領域はdirect sequence,次世代sequenceによる解析にても耐性ウイルスは検出されなかった.【結論】PEG/RBV/TVR治療は高いSVR率を認め,IL28B,性別とCoreaa70およびIFNとRBVのadherenceが重要であった.一方DAA併用では,ウイルス側因子が効果に関係する可能性がある.
索引用語 C型肝炎, DAA