セッション情報 |
シンポジウム8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
内視鏡治療時代の食道扁平上皮癌の診断学
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タイトル |
内S8-1:経鼻内視鏡+低濃度ヨード+FICEによる食道表在癌拾い上げ診断
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演者 |
川田 研郎(東京医歯大・食道・胃外科) |
共同演者 |
河野 辰幸(東京医歯大・食道・胃外科), 中島 康晃(東京医歯大・食道・胃外科) |
抄録 |
初めに)近年,NBI等の画像強調内視鏡により,食道表在癌拾い上げが容易となっているが,画質が改良された経鼻内視鏡へのニーズも高まっている.我々は2009年より0.2~0.5%の低濃度ヨード+FICEによる強調+広角経鼻内視鏡(EG-530NW, EG-580NW, 富士フィルム)を用いた上部消化管スクリーニングを行ってきた.目的)広角経鼻内視鏡で発見した食道表在癌の臨床病理学的特徴を明らかにし,経鼻内視鏡によるスクリーニングの有用性を明らかにする.対象と方法)2009年9月より2012年12月までに広角経鼻内視鏡により発見した食道表在癌82例112病巣(男性:女性 68:14,平均年齢69.2歳)を対象とした.検査手順は,Valsalva法を用いて食道入口部より観察を行い,FICEはAdvancia モード0,5,8の3セットをボタン操作で白色光とほぼ同時に用いた.スコープ抜去時に低濃度ヨード10mlを食道胃接合部から頸部食道まで引き抜きながら撒布,さらにもう10mlを口側から肛門側へ染めムラがないように撒布し,FICEモード8で強調した.結果)発見動機の内訳は食道癌治療後の経過観察50例,頭頸部癌スクリーニング23例,その他9例であった.多臓器重複癌を67例(81.7%)に認め,頭頸部が44例と最も多く,胃20例,大腸7例の順であった.食道多発癌を67例(81.7%)に認めた.112病変中54病変(48.2%)は通常,FICEで拾い上げできず,低濃度ヨードにて拾い上げた.通常,FICEで拾い上げた58病変の大きさの中央値は14mm(5~51mm)で深達度別ではT1a-EP:26病変,T1a-LPM:23病変,T1a-MM・SM1:5病変,SM2:4病変であった.これに対しヨード発見54病変の大きさの中央値は8mm(2~23mm)で深達度別ではT1a-EP 51病変,T1a-LPM3病変であった.5mm以下の微小癌21病変のうち18病変(85.7%)はヨード発見例で,通常およびFICEのみでの拾い上げは困難であった.結語)経鼻内視鏡による食道表在癌の拾い上げには,通常,FICEのみでは限界があり,ヨード染色が必須である.FICE+低濃度ヨードは苦痛を減らす工夫として有用である. |
索引用語 |
経鼻内視鏡, 低濃度ヨード |