セッション情報 シンポジウム8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

内視鏡治療時代の食道扁平上皮癌の診断学

タイトル 内S8-8:

表在型食道扁平上皮癌に対する範囲診断(NBIvsヨード染色)

演者 竹内 学(新潟大医歯学総合病院・消化器内科)
共同演者 小林 正明(新潟大医歯学総合病院・光学医療診療部), 橋本 哲(新潟大医歯学総合病院・光学医療診療部)
抄録 【目的】食道扁平上皮癌の範囲診断にはヨード染色がgold standardである.一方NBIでは癌はBrownish Area(BA)として描出されその検出には有用であるが範囲診断に関しての詳細な報告はない.今回の目的はNBIによる範囲診断正診割合を検討することである.【方法】2012年8月から連続してESDを施行した表在型食道扁平上皮癌37例43病変(CRT後局所再発例は除く)を対象に以下の方法で前向きに行った.NBI観察(拡大併用)にてBAあるいはType B血管を呈する領域を境界部より約1-2mm離し全周性にマーキングを施行.引き続きヨード染色を行いマーキングを施行(NBIと一致する場合は追加マーキングなし).病理診断をもとに範囲正診割合を算出し,誤診の要因につき検討した.性別M/F:32/5.年齢中央値(range,歳):72(46-89).主たる局在 Ce/Ut/Mt/Lt/Ae:2/3/27/9/2.主たる肉眼型 IIa/IIb/IIc:2/12/29.平均腫瘍径(range,mm):30(6-75).腫瘍周在性 <1/2/≧1/2/≧3/4/全周:21/14/6/2.深達度 EP/LPM・MM/SM1・SM2:31・10・2.【成績】BAの程度(明瞭/一部不明瞭/不明瞭):36/4/3.術前ヨード染色(有/無):23/20,すべてESD1か月以上前に施行.Multiple LVL(A:1視野10個未満/B:10個以上)=18/25.背景白濁粘膜(有/無):9/34.NBI範囲正診割合:90.7%(39/43).ヨード範囲正診割合:100%(43/43).誤診4例全例NBIで範囲を狭く診断しており,腫瘍径が比較的大きい病変で,誤診部はIIb進展でNBIではBAが不明瞭で,血管異常もType Aであった.平均誤診範囲は25mm(4-60)であった.病理組織学的には全層置換しない異型が弱いEP癌であることが特徴的であった.しかし今回の検討では病変の局在・周在性・術前ヨード染色の有無・Multiple LVLの程度・周囲炎症の程度が範囲診断に影響を及ぼす傾向はなかった.【結論】癌に連続する平坦部分がNBI観察にてType A血管を呈しBAが不明瞭な場合は,範囲診断に注意しヨード染色にて範囲決定すべきと考えるが,少数例のため今後更なる検討が必要である.
索引用語 食道癌, 範囲診断