セッション情報 | シンポジウム8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)内視鏡治療時代の食道扁平上皮癌の診断学 |
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タイトル | 内S8-10:食道扁平上皮癌の治療戦略を決めるための拡大内視鏡と超音波内視鏡の使い分け |
演者 | 小馬瀬 一樹(山梨大・1内科) |
共同演者 | 大高 雅彦(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科) |
抄録 | 【目的】食道扁平上皮癌に対する治療戦略を決める上で深達度診断は欠かせないものである.近年拡大内視鏡による深達度診断が広く行われるようになり,日本食道学会から新しい拡大内視鏡分類が提唱されたがその有用性はまだ明らかになっていない.また,超音波内視鏡による深達度診断もT1a-MM/SM1の診断率が低いなど問題点がある.今回我々は深達度毎にそれぞれの検査法による診断と病理学的診断との一致率を明らかにし,治療戦略を立てる上での検査法の使い分けを検討する. 【方法】2004年4月から当院で食道扁平上皮癌と診断された症例のうち,病理学的な深達度評価が可能であり,治療前に超音波内視鏡または拡大内視鏡が行われた172症例,180病変を対象とした.Retrospectiveな解析ではあるが,事前に超音波内視鏡画像や拡大内視鏡画像だけを抽出し,それぞれの画像のみから深達度を再度評価し,後に病理学的深達度との一致率を検討する方法をとった.また,拡大内視鏡画像の判定には日本食道学会の食道表在癌拡大内視鏡分類を用いた. 【成績】対象患者の背景は男性152例,女性20例で,平均年齢は67.4歳であった.180病変の内訳は表在癌111例,進行癌69例であった.拡大内視鏡,超音波内視鏡それぞれによる深達度診断と病理学的深達度診断との一致率はT1a-EP/LPMで78%と68%,T1a-MM/SM1で79%と20%,SM2以深で90%と79%であった.超音波内視鏡はさらにSM2以深の深達度を判別することが可能でありその正診率はSM2-3で59%,MP以深で94%であった.全体での日本食道学会拡大内視鏡分類の正診率は81%であった. 【結論】表在癌では日本食道学会の拡大内視鏡分類は正診率が高く,特に超音波内視鏡で正診率の低いT1a-MM/SM1でも高い診断率が得られるため超音波内視鏡より有用な可能性がある.ただし,拡大内視鏡でSM2以深の診断となった場合は超音波内視鏡によるSM massiveなのかMP以深なのかの判断が治療戦略を立てる上で必要となる. |
索引用語 | 食道癌, 深達度診断 |