セッション情報 シンポジウム8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

内視鏡治療時代の食道扁平上皮癌の診断学

タイトル 内S8-11:

ヨード不染帯とfield cancerization現象の関連に関する多施設共同前向きコホート研究 -JEC試験最終解析結果-

演者 金子 和弘(国立がん研究センター東病院)
共同演者 堅田 親利(北里大・消化器内科), 武藤 学(京都大大学院・医学研究科)
抄録 【目的】頭頸部・食道に扁平上皮癌が多発するfield cancerization現象とヨード不染帯の関連を明らかにするため, 多施設共同前向き試験(UMIN 1676)を行った.【対象と方法】2005年9月~2010年5月に内視鏡切除を行った食道早期癌症例を登録した. 主要評価項目は不染帯の程度別の累積食道内多発癌発生率. 副次的評価項目は1)不染帯の程度別の累積頭頸部重複癌発生率, 2)不染帯の程度別の観察人年あたりの食道内多発癌発生総数である. 不染帯の程度は, A群(不染なし), B群(1-9個), C群(10個以上)に分類した.【結果】331例が登録され, 中央病理診断で1例を除外した. 最終登録例の2年経過時点でkey openし,観察期間中央値は41.2ヶ月(1.3-83.5ヶ月)であった. 2年累積食道内多発癌発生率と累積頭頸部重複癌発生率は, A<B<C群の順に増加した (食道:p<0.0001, A or B vs. C; 頭頸部:p<0.01, A or B vs. C). 観察人年あたりの食道内多発癌発生総数についてもA<B<C群の順に増加した (3.6, 6.0, 23.4 / 100人年, p<0.0001, A or B vs. C).【結語】C群のヨード不染帯は食道・頭頸部重複癌発生の有用なバイオマーカーであり,高危険群として多重癌予防の介入が必要と考える.
索引用語 食道癌, ヨード多発不染帯