セッション情報 シンポジウム8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

内視鏡治療時代の食道扁平上皮癌の診断学

タイトル 内S8-12:

cN0,MM/SM癌内視鏡治療後のリンパ節再発診断の成績と対策

演者 有馬 美和子(埼玉県立がんセンター・消化器内科)
共同演者 都宮 美華(埼玉県立がんセンター・消化器内科), 山田 透子(埼玉県立がんセンター・消化器内科)
抄録 【目的】食道MM/SM癌に対するESDは合併疾患から追加治療が行えないことも多く,salvage不能な状態で再発が発見される報告も少なくない.リンパ節転移の危険因子(RF)陽性でも転移陰性例も多く追加治療例の絞り込みが難しい現状である.このため根治可能なレベルでの再発診断を目指して術前診断と経過観察を行ってきた.このfollow up systemの診断能と治療成績を検証する.【対象と方法】2000年8月~2012年9月に内視鏡切除したcN0,MM/SM癌115例(MM癌56例,SM1癌21,SM2癌38)を対象とした.年齢44~84歳(平均68),Ce8例,Ut18,Mt61,Lt24,Ae4,経過観察期間は6~151ヶ月(中央値56)である.術前転移診断はEUS,CT,USを行い,治療後も6ヶ月ごとに同様に経過観察した.RFは0-Iと0-III型,por/特殊型,INFc,ly,v陽性とした.追加治療はRF陽性のうち全身状態を考慮し選択した.【結果】RF陽性61例中31例に追加治療(CRT/RT20例,化学療法3,手術8)を行い,手術例1例に微小転移を認めた.経過観察53例中6例(11%)にリンパ節再発を認め,いずれも追加治療未施行例であった.RF陰性54例にこれまで再発を認めていない.リンパ節再発はEUSが6例中5例,CTが3例,USが1例を診断した.診断時のリンパ節長径は9~17mm (平均12),発見時期は治療後3~46ヶ月であった.転移部位は上腹部,上縦隔,頸部で,2例に腹部,3例に頸部上縦隔リンパ節郭清,1例に根治手術を行った.0-Is型porの追加治療拒否例が原病死したが,それ以外これまで原病死はない.【考察】リンパ節転移は微小転移も稀ではなく画像診断に限界があるのは間違いない.定期的な経過観察が重要である.EUSは食道癌のリンパ節転移の好発部位を系統的に検索でき,形状と内部エコーが評価できることが特徴である.EUSで診断した5例中4例は4~6mm大で検出し,経時的な検査で増大を確認し診断に至った.リニア型EUSは食道壁近傍の解像度が良く,頸胸腹境界領域の検索にも優れており,現在後継機を開発中である.【結語】EUSを中心とした複数のmodalityによる定期的な検索はESD後のリンパ節再発の早期診断に有効である.
索引用語 食道MM・SM癌, リンパ節転移