セッション情報 シンポジウム9(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

高齢化社会におけるNSAIDs消化管障害

タイトル 内S9-4追:

非ステロイド性消炎鎮痛薬・低用量アスピリンが胃十二指腸潰瘍患者の上腹部症状に与える影響

演者 富田 寿彦(兵庫医大・内科(上部消化管科))
共同演者 福井 広一(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科))
抄録 【背景】非ステロイド性消炎鎮痛薬(Non-Steroidal anti-inflammatory drugs; NSAIDs)や低用量アスピリン(Low-dose aspirin; LDA)は消化性潰瘍や上部消化管出血のリスクファクターとして知られている.一般的に薬剤性消化性潰瘍患者では症状発現が乏しく,突然発症すると考えられてきた.しかしこれらの研究は非NSAIDs服用患者を対照として設定しておらず,十分に科学的な検討が行われているとは言い難い.【目的】上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行し,急性期の消化性潰瘍の存在が確認された患者を対象に自己記入式アンケート(Grobal overall symptom,SF-8)を実施し,NSAIDs,LDA使用の有無による潰瘍発症時の消化器症状スコアとQOLスコアに与える影響を検討する.【対象・方法】EGDで急性期の胃十二指腸潰瘍(A1-H1)が確認された患者200名を対象に,内視鏡終了後にアンケートを実施した.記載ミスがあった26例を除く174例を解析対象とした.【結果】174名(男/女:106/68,64.3±16歳)の胃十二指腸潰瘍患者中,NSAIDs単独服用群は52名,LDA単独服用群は21名,NSAIDSとLDAの 2剤服用群は16名,NSAIDsおよびLDA非服用群は85名であった.NSAIDs単独群と非服用群(NSAIDS/LDA)での上部消化管症状スコアは同等であり(19.6 v.s. 20.5),LDA単独群では有意に低かった(15.7 v.s. 20.5) (p<0.05).NSAIDs単独群は非服用群に比して有意にQOLスコア(身体的サマリー)が低かったが (42.1 v.s. 47.5)(p<0.05) , LDA単独群と非服用群では差を認めなかった(46.0 v.s. 47.5).患者背景では,年齢がLDA単独群でNSAIDs単独群,非服用群に比して有意に高かった以外に差を認めなかった.全174名中,年齢と上腹部症状発現の強さは負の相関を認めた(r=-0.211, p<0.01).【結語】NSAIDs服用者の消化性潰瘍発症時の上腹部症状の程度は,非服用者と同様であった.LDA服用患者では上腹部症状は軽かったが,これはLDA服用者の年齢が高いことと関連していると考えられた.
索引用語 NSAIDs/LDA, 消化性潰瘍