セッション情報 |
シンポジウム10(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
再生医学研究の現状と展望
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タイトル |
肝S10-3:脱細胞化骨格を用いた再生医療実現化プラットフォームの創生
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演者 |
八木 洋(慶應義塾大・一般消化器外科) |
共同演者 |
板野 理(慶應義塾大・一般消化器外科), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科) |
抄録 |
iPS技術の再生医療実現化を目指した研究の発展はめざましく,角膜・神経・心筋細胞など臨床試験段階の分野も示されつつある.しかしながら更なる重症疾患治療実現化のために現在臓器移植に頼らざるを得ない腹腔内臓器分野への展開には,実質・管腔臓器そのものが持つ複雑な構造的・機能的特徴が高い障壁となっている.我々がこれまで示してきたように脈管をアクセスとして利用し,構成細胞を除去した骨格を細胞生着の足場として利用する脱細胞化骨格技術が,この困難性を打破する技術基盤に成り得ると考えている.実際に本研究によってこの骨格構造が既存のマトリックスには見られない成長因子などの約200種類の蛋白質を残したまま,一定の基底膜構造から連続的に大血管へとつながる3次元構造を保つこれまでにない生体由来スキャフォールであることが示された.我々は肝骨格を用いた移植実験で2週間まで経過を観察し,移植後の病理組織学的変化を検討し,加えて膵骨格/膵島・小腸骨格/小腸オーガノイドの組み合わせで細胞生着の評価を行った上,膵島機能発現について詳細に検討し,複数臓器での応用の可能性や臓器間の相違を明らかにした.今後移植細胞の生着基盤かつ生体内で成熟可能なiPS細胞移植医療のプラットフォームとなり得る可能性が示唆される. |
索引用語 |
細胞外マトリックス, 肝再生 |