セッション情報 |
シンポジウム11(肝臓学会・消化器病学会合同)
NASH肝癌の発がんメカニズム解明と治療への応用
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タイトル |
消S11-7:ロスバスタチンは,NAFLD-HCCマウスモデルにおける腫瘍発現を予防する.
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演者 |
福西 新弥(大阪医大・2内科) |
共同演者 |
津田 泰宏(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科) |
抄録 |
【背景】肝細胞癌(HCC)の発症させる危険因子として,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が挙げられている.NASHの成因のひとつに高脂血症があり,この高脂血症に対しての治療が発癌予防のためにターゲットとなりうる可能性があることを示している.ロスバスタチンは,高脂血症患者で多く使用されている治療薬であるが,NASHを含むNAFLDからのHCCの発癌におけるロスバスタチンの役割は,いまだ十分には検討はされていない.われわれは,高脂肪飼料を摂取させることによってNAFLDからHCCを発症するマウス(STAM mice)を使用して,ロスバスタチンのNAFLDにおける抗炎症効果も含めて腫瘍発現の抑制効果について検討を行った.【方法】高脂肪飼料を摂取させることでNAFLDからHCCを発症するマウス(STAMマウス)に対して,20週間,高脂肪飼料を摂取させる群(n=8)と高脂肪飼料に0.00125%ロスバスタチンを添加した飼料を摂取させる群(n=8)を作成した.【結果】われわれは,ロスバスタチンがマウスに食餌性に誘発されたNAFLDからの肝腫瘍の発現を肉眼的にも組織学的にも阻害したことを示す.ロスバスタチンの効果は,PPARγやSREBP-1cのような脂質生成関連遺伝子の肝臓でのmRNA発現を減少させ,加えて,IL-1,IL-6,TNF-αのような炎症関連遺伝子の肝臓でのmRNA発現を抑制していた.【結語】 この作用機序は,NAFLDからの発癌において,ロスバスタチンが,脂質の合成阻害効果に加えて抗炎症効果を示すことによって,発癌を抑制する可能性を示唆する.本研究はロスバスタチンがNAFLDからのHCCの発現を予防する可能性を示し,ロスバスタチンがHCCのリスクにさらされているNASHを含めたNAFLD患者に対しての予防薬剤として評価される可能性があることを示す. |
索引用語 |
HCC, NAFD |