抄録 |
【目的】人間ドック受診者におけるGERDへの生活習慣の影響とメタボリックシンドローム(MS)との関係について検討した.【方法】対象は2011年1月から2012年12月まで人間ドックにて上部消化管内視鏡検査を受けた2,516名(男性1,704名;平均年齢53.5歳,女性812名;同51.2歳,2011・2012年2年連続受診者は2011年所見とし,上部消化管手術例およびGERD治療例,MS関連疾患治療例を除く).検討項目はGERD診断,身体計測結果(BMI,腹囲,腹囲身長比),MS関連検査結果(血圧,脂質,糖代謝),生活習慣問診結果(特定健診問診,当施設オリジナルの食習慣や嗜好などの問診)とした.【成績】GERDは976例(男性831例,女性145例,GradeはM;405例,A;465例,B;86例,C;18例,D;2例)であった.GERDは男性(odds比4.37)や肥満(同2.39)・血圧異常(同1. 98)・脂質異常(同1.99)・糖代謝異常(同1.79)例に有意に多く,生活習慣問診結果では喫煙習慣あり(同1.70),飲酒習慣あり(同1.66),夜9時以降に夕食(同1.23),早食い(同1.26),朝食を抜く(同1.31),食事時間が不規則(同1.37),外食が多い(同1.35)と答えた受診者に有意に多かった.一方,野菜を毎日食べる(同0.74),乳製品を毎日食べる(同0.73),香辛料は摂らない(同0.71),塩辛いものは食べない(同0.77),甘いものを毎日食べる(同0.53),間食する(同0.54)と答えた受診者ではGERDの割合が少なかった.さらに,非MS例からMS予備軍例,MS例となるに比例して,さらに危険因子(血圧異常,脂質異常,糖代謝異常)保有数の増加に比例してGERDの割合が有意に増加した.また,2011・2012年連続受診者で2011年にGERDと診断された未治療症例の2012年のGERD所見を悪化(44例),不変(173例),改善(116例)に分け比較検討した結果,BMI1以上増加をGERD悪化の11.4%,不変の9. 3%,改善の4.8%に認め,BMI1以上減少を悪化の0%,不変の5.2%,改善の13.8%に認めた.【結論】GERDは生活習慣,特に食生活の影響を受ておりMSとの関連性は高く,生活習慣改善指導がGERDの防止や改善に有用であることが示唆された. |