セッション情報 シンポジウム12(消化器病学会・消化吸収学会合同)

GERDと生活習慣病

タイトル 消S12-2:

メタボリック症候群の逆流性食道炎における生活習慣病および内臓脂肪の影響について

演者 曽我部 正弘(香川県立がん検診センター・消化器科)
共同演者 岡久 稔也(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・消化器内科学), 山ノ井 昭(香川県立がん検診センター・消化器科)
抄録 【目的】我が国では内臓脂肪型肥満に生活習慣病を合併したメタボリック症候群(MS)の増加が健康対策上の大きな問題となっている.MS該当者は非該当者に比べ逆流性食道炎(RE)を合併しやすく,生活習慣因子に加え,内臓脂肪に伴う腹腔内圧の上昇などが関与していると考えられている.しかし,MS該当者のREにおける生活習慣病や内臓脂肪の影響については十分に検討されていない.今回我々は,MS該当者のREに対する生活習慣,生活習慣病および内臓脂肪の影響について検討した.【方法】対象は2008年4月~2011年3月の間の当センターでの健診受診者のうち,上部消化管内視鏡検査および腹部超音波検査を受けたMS該当者560名.LA分類GradeA以上をREとし,飲酒,喫煙,MS診断に基づく高血圧,脂質異常,耐糖能異常の5項目および内臓脂肪型別(内臓型・皮下型)に対するRE頻度を比較した.またMS該当者におけるRE発症の背景因子の影響について,多変量解析を行い検討した.【成績】(1)REは男性MS該当者で19.7%,女性MS該当者で10.8%に認められた.(2)男性MS該当者において飲酒者は非飲酒者に比べ有意にREが多かった(P<0.05).脂質異常有無別,耐糖能異常有無別,高血圧有無別,喫煙・非喫煙別でRE頻度に有意差は認められなかった.内臓脂肪型別で内臓型は皮下型に比べ有意にREが多かった(P<0.05).(3)男性MS該当者におけるRE発症についての多変量解析ではHr,飲酒,内臓型が有意な因子であった.(4)女性MS該当者において脂質異常有無別,耐糖能異常有無別,高血圧有無別,飲酒・非飲酒別,喫煙・非喫煙別および内臓脂肪型別でRE頻度に有意差は認められなかった.(5)女性MS該当者におけるRE発症についての多変量解析では耐糖能異常,HPが有意な因子であった.【結論】男性MS該当者においてはHr,内臓脂肪に加え飲酒が重要な因子であり,女性においては耐糖能異常,HP非感染が関係している可能性が示唆された.
索引用語 逆流性食道炎, メタボリック症候群