セッション情報 シンポジウム12(消化器病学会・消化吸収学会合同)

GERDと生活習慣病

タイトル 消S12-3:

生活習慣病と逆流性食道炎,バレット食道との関連

演者 山田 晃弘(虎の門病院・消化器内科)
共同演者 古畑 司(虎の門病院・消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器内科)
抄録 【目的】今回われわれは生活習慣病と逆流性食道炎,バレット食道の関連について明らかにすることを目的とした.【方法】2008年1月1日から2012年12月31日まで当院人間ドックを受診し,上部内視鏡検査を選択した17814名(平均年齢52.8± 11.4歳,男:女= 12168: 5636)を対象とした.1)逆流性食道炎の有無に分類して,年齢,性別,食道裂孔ヘルニア,肥満(BMI 25以上),糖尿病,高脂質血症,高血圧,喫煙,飲酒との関連について比較検討した.2) バレット食道の有無に分類して上記の因子に加え逆流性食道炎との関連について比較検討した.【結果】1)逆流性食道炎群(RE群)は6872例(53.5±11.8歳,男:女=5511:1361)対照群(C群)は10942例(52.7±10.8歳,男:女=6657:4285)とRE群に男性が有意に多かった(p<0.001).RE群とC群でそれぞれ,食道裂孔ヘルニアは14.8 % vs 38.3 %,肥満は 20.0 % vs 29.7 %,糖尿病は 6.9 % vs 8.1 %,高脂質血症は 45.4 % vs 47.6 %,高血圧は15.5 % vs 18.3 %,喫煙は45.7 % vs 55.1 %,飲酒は76.3 % vs 83.1 %の合併率であった(p<0.05).ロジスティック回帰分析で,男性(Odds Ratio 2.14,95%信頼区間 1.98-2.32),食道裂孔ヘルニア(3.22 3.00-3.47),肥満(1.38 1.28-1.49)がリスク因子であった.2)バレット群(BE群)は1542例(53.8±11.2歳,男:女=1212:330)対照群(C群)は16272例(52.8±11.4歳,男:女=10956:5316)とBE群に男性が有意に多かった(p<0.001).BE群はC群に対して男性が多く,逆流性食道炎,食道裂孔ヘルニア,高脂質血症,喫煙の合併が有意に高かった(p<0.05).ロジスティック回帰分析で,男性(1.21 1.06-1.40),逆流性食道炎(2.30,2.05-2.58),食道裂孔ヘルニア(2.59 2.31-2.89)が危険因子であった.【結論】肥満は逆流性食道炎の有意な危険因子であり,生活習慣の改善による体重コントロールは重要と考えられる.また,バレット食道は食道裂孔ヘルニアが重要な危険因子であり,PPIによる酸逆流抑制が必要である.
索引用語 GERD, 生活習慣病