セッション情報 シンポジウム12(消化器病学会・消化吸収学会合同)

GERDと生活習慣病

タイトル 消S12-4:

逆流性食道炎の発症は体重増加と H. pylori 感染と関係がある

演者 知花 洋子(獨協医大・消化器内科DELIMITER獨協医大病院・健康管理科)
共同演者 大類 方巳(獨協医大病院・健康管理科), 平石 秀幸(獨協医大・消化器内科)
抄録 【背景・目的】逆流性食道炎の発症や進展に生活習慣病の関与が指摘されている.また H.pylori 除菌の保険治療の適応が拡大したことから逆流性食道炎の発症が増加すると危惧されている.人間ドック受診者の逆流性食道炎・バレット食道と生活習慣病関連因子, 臨床所見, 血液所見との関係を調べ, 背景因子を明らかにすることを目的とした.【対象】2008年10月から2013年1月のドック受診者 1937例のうち, 腹部超音波および上部消化管内視鏡を行った症例で,切除胃例・胃がん例を除く, 856例(男性 623例,女性 233例,平均年齢 58.6 ± 9.2 歳)を対象とした.【方法】ロサンゼルス分類 Grade A 以上を逆流性食道炎有りとした.柵状縦走血管下端よりも squamo-columnar junctionが上昇した症例をバレット食道有りとした(short segment Barretts esophagusを含む).メタボリック症候群(Metabolic syndrome: MS)は2005年に5学会が提唱した診断基準を用いた. 腹部超音波検査で脂肪肝, 胆石の診断を行った.逆流性食道炎と既往歴・血液検査項目・臨床検査値・特定健診質問票などとの関係を検討した.統計は t 検定, χ2 検定を行い P<0.05を有意差ありとした.【結果】逆流性食道炎 は 140症例(16.4%)で,男性 119例,女性 21例であった.単変量解析では逆流性食道炎はバレット食道・食道裂孔ヘルニア・脂肪肝・MS・脂質異常症・高血圧の合併症例が多く,萎縮性胃炎の合併症例が少なかった.また逆流性食道炎は身長が高く,体重が重く,腹囲が大きく,血色素量高値,ALT高値,γGTP高値,血中抗 H. pylori IgG抗体陰性,20歳時の体重から10kg以上の増加,飲酒習慣がある症例に多かった.多変量解析では体重が重い症例(Odds比 1.28, 95%CI 1.001-1.663, P=0.046)H. pylori 感染陰性例(Odds比 0.258, 95%CI 0.134-0.463, P<0.001)で逆流性食道炎の発症が多かった.【結語】逆流性食道炎の発生は生活習慣病関連諸因子との関係があり,特に体重増加と H. pylori 感染との関係が有意であった.
索引用語 逆流性食道炎, 生活習慣