セッション情報 シンポジウム12(消化器病学会・消化吸収学会合同)

GERDと生活習慣病

タイトル 消S12-5:

日本人のバレット食道と肥満の関連性

演者 新海 洋彦(東北大大学院・消化器病態学)
共同演者 飯島 克則(東北大大学院・消化器病態学), 小池 智幸(東北大大学院・消化器病態学)
抄録 【目的】バレット食道の危険因子は,男性,喫煙,胃酸逆流症状,肥満などが知られているが,肥満に関しては結論がでていないのが現状である.これらは欧米からの報告が中心であり,本邦を含むアジアからの報告は極めて少ない.本邦ではバレット食道(特にlong-segment)の罹患率が低いため,単一施設での検討が難しく,またバレット食道の危険因子は人種間で異なることが知られており,long-segmentの多い欧米のデータをそのまま,日本人に適応できるかどうかは不明である.今回,日本人におけるバレット食道と肥満の関連性を明らかにすることを目的とした.【方法】2010年4月から2012年3月の期間で,当院,及び関連病院で上部内視鏡検査を施行された患者のうち,年齢20歳以上,内視鏡上2cm以上のバレット食道を有する113例(男性93例,女性20例)を対象とした.性・年齢をマッチさせた内視鏡的に異常を認めないものをコントロールとし,多変量解析にてバレット患者の危険因子を検討した.【結果】バレット患者は平均年齢63.1±12.7歳,男性61.5±12.3歳,女性71.8±13.3歳であり,女性で有意に高齢であった.バレット粘膜最大長は平均4.0±2.1cmであり,3cm以上の症例は81例であった.BMIはバレット患者24.4±3.8kg/cm2,コントロール群23.4±3.0kg/cm2であり,有意差を認めた.単変量解析ではBMI23未満を基準とすると,BMI23以上25未満でオッズ比(OR)2.00,95%CI1.04-3.82,BMI25以上でOR2.17,95%CI1.20-3.92であった.喫煙,飲酒,週1回以上の胸焼け症状,PPI服用,食道裂孔ヘルニアで調整した多変量解析では,BMI23未満を基準とすると,BMI23以上25未満でOR2.48,95%CI0.94-6.60,BMI25以上でOR3.49,95%CI1.40-8.69であった.バレット粘膜長3cm以上の症例,男性のみの検討でも同様の結果であったが,女性のみの検討では関連は認めなかった.【結論】本研究は日本人における2-3cm以上のバレット食道の危険因子を検討した初めての研究であり,日本人では軽度肥満でもバレット食道と関連することが示唆された.
索引用語 バレット食道, BMI