セッション情報 |
シンポジウム12(消化器病学会・消化吸収学会合同)
GERDと生活習慣病
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タイトル |
消S12-8:NAFLDにおいてGERDは不眠症の原因となる―プロトンポンプ阻害剤(PPI)による治療効果を含めて―
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演者 |
竹谷 祐栄(市立奈良病院・消化器肝臓病センター) |
共同演者 |
角田 圭雄(京都府立医大大学院・消化器内科学), 田中 斉祐(市立奈良病院・消化器肝臓病センター) |
抄録 |
【目的】非アルコール性脂肪肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)ではGERDや不眠症の合併が多いが,NAFLDにおけるGERDと不眠の関連は明らかでない.【方法】肝生検で診断したNAFLD 123例を対象にGERDと不眠の評価を行った.Matteoni分類でtype 1 or 2をnonalcoholic fatty liver(NAFL),type 3 or 4をnonalcoholic steatohepatitis (NASH) と診断した.GERDはFスケール問診票(Frequency Scale for the Symptoms of GERD:FSSG)を用い,8点以上をGERDと判定した.不眠は8項目の質問項目からなるアテネ不眠スケール(Athens insomnia scale: AIS)を用い,6点以上を不眠症とした.NAFLDにおけるGERD,不眠症の頻度及び,臨床検査値との関連について検討した.GERD症例に対してはラベプラゾール(RPZ)10mg/日を投与し,前後でFSSG,AISを測定した.【成績】不眠症をNAFLDの27.6 %(34/123),GERDは25.2 %(31/123)に認めた.肝生検の結果はNAFL/NASH:40/83でNAFL群とNASH群の2群間でFSSG,AISに有意差を認めなかった.臨床検査値の中でAISと相関するパラメータはFSSGのみであった.不眠群と非不眠群を比較すると,性別,年齢,NASHの頻度に有意差を認めなかったが,γGT,HOMA-IR,FSSGは不眠群で有意に高値であった.不眠に寄与する因子をロジスティック回帰分析で検討すると,γGT,FSSGが独立した危険因子であった.GERDの15例にRPZを投与したところ,FSSGは有意に低下し,AISも低下する傾向を認めた(p=0.066).【考察】NAFLDの3割弱が睡眠障害を合併し,GERDが不眠の一因であると示唆された.NASHとNAFLの2群間では差を認めなかった.RPZ投与により,GERDと睡眠障害が改善する例を認めた.【結論】NAFLDにおける不眠はGERDが一因である可能性が示唆された. |
索引用語 |
NAFLD, GERD |