セッション情報 |
シンポジウム12(消化器病学会・消化吸収学会合同)
GERDと生活習慣病
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タイトル |
消S12-11:ERD/NERD別にみたGERD症状と生活習慣の関連性の検討
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演者 |
中田 浩二(東京慈恵会医大・消化管外科) |
共同演者 |
松橋 信行(NTT東日本関東病院・消化器内科), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学) |
抄録 |
【背景】胃食道逆流症(GERD)は様々な生活習慣との関連が示唆されているが,ERD/NERD別の検討やGERD症状の強さとの関係は明らかにされていない.【方法】2011年4月~2012年7月にGERD研究会の臨床試験参加50施設を受診した成人患者のうち,モントリオール定義に基づくGERD症状を有し,文書による同意が得られた患者を対象とした.内視鏡で食道炎の有無を確認後,標準用量のプロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール,ランソプラゾール,ラベプラゾール)を4週間投与した.投与開始時に患者背景と生活習慣(生活の不規則性,カフェイン飲料,煙草,酒類,高脂肪食の摂取状況)の調査を行った.また投与開始時,投与2週後,4週後にGERD-TEST(本試験用に策定した調査票),HADS(※ 投与2週後は施行せず),SF-8を用いたアンケートを行い,症状,生活不満度,不安・抑うつおよびQOLを調査した.【結果】調査票およびアンケートをともに回収しえた340名のうち,初回のアンケートおよび食道内視鏡検査をPPI投与開始時点から所定の期間内に実施した290名(男性178名,女性112名)を解析対象とした.年齢,BMIの平均は,それぞれ57.5±13.9歳,24.0±3.9 kg/m2であり,ERDが183名(63%),NERDが107名(37%)であった.PPI投与開始時のGERD-TESTより算出したGERD症状スコア(最高7点,高い程症状が強い)は平均3.42±1.22点であり,ERD群(3.33±1.25点)とNERD群(3.58±1.17点)で有意差は認められなかった.GERD症状スコアと生活習慣の関連についての単変量解析では,“生活が不規則”あるいは“高脂肪食をよく食べる”患者の症状スコアが有意に高かった.また,ERD群とNERD群に分けたサブグループ解析では,ERD群は全体解析と同じ項目で症状スコアに有意差がみられたのに対して,NERD群では生活習慣の影響は認められなかった.【結論】ERD群とNERD群では,GERD症状の強さと生活習慣との関連の度合いは異なった.ERD患者ではより積極的な生活習慣の改善が望まれる. |
索引用語 |
胃食道逆流症, 生活習慣 |