セッション情報 |
シンポジウム12(消化器病学会・消化吸収学会合同)
GERDと生活習慣病
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タイトル |
消S12-12:PPI治療抵抗性逆流性食道炎の治療効果に影響を及ぼす要因探索-生活習慣病合併との関連-
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演者 |
水野 秀城(市立富山市民病院・消化器内科) |
共同演者 |
蓑内 慶次(市立富山市民病院・消化器内科), 樋上 義伸(市立富山市民病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】逆流性食道炎(RE)の治療にはプロトンポンプ阻害剤(PPI)を使用しても症状が残存する患者の存在が指摘されている.また,胃食道逆流を誘発しやすい生活習慣の改善指導も薬物治療と共に重要であるとされている.そこで,既存のPPIで効果不十分な患者を対象に,新規PPIエソメプラゾールを投与し,その治療効果とBMIや生活習慣病の影響について検討した.【方法】対象は,REと診断され20歳以上で,既存のPPIを4週間以上継続投与しているにも関わらず,FSSGの総スコアが8点以上で,文書同意の得られた患者53例(男性25例,女性28例).エソメプラゾール20mg/日に変更して,投与2週後のFSSGならびにGSRSスコアと性別,年齢,BMI,生活習慣病合併の有無との関連を,重回帰分析を用いて検討した.【結果】平均年齢は57.2±17.2歳,BMIは22.6±3.2,生活習慣病の合併は,糖尿病3例,高脂血症3例,高血圧症4例であった.2週後のFSSG運動不全スコアには高脂血症合併(p=0.031)が影響している可能性が示唆された.総スコアや酸逆流スコアに影響を及ぼす因子は認めなかった.2週後のGSRS総スコアには高脂血症合併(p=0.041)が,GSRS下位尺度である逆流スコアには高脂血症(p=0.003)および高血圧症(p=0.022)の合併が,腹痛スコアには高脂血症の合併(p=0.021)が影響している可能性が示唆された.一方,下痢スコアには年齢(p=0.040)とBMI(p=0.013)が,便秘スコアについては糖尿病合併(p=0.026)がスコアの改善に影響を及ぼすと因子と考えられた.消化不良スコアに影響を及ぼす因子は認めなかった.また,喫煙や飲酒の有無,脂っこい食事の摂取状況に関しては,REの治療効果に影響を与えなかった.【考察】高脂血症の合併は,FSSGスコアの運動不全症状,GSRSの下位尺度である酸逆流,および腹痛の改善に影響を及ぼす因子となったが,下痢,便秘の改善には高脂血症合併の影響を認めず,BMIや糖尿病合併が影響している可能性が示唆された. |
索引用語 |
逆流性食道炎, 生活習慣病 |