セッション情報 シンポジウム13(消化器外科学会)

肝胆膵外科領域におけるロボット・腹腔鏡下手術の現状と課題

タイトル 外S13-4:

先天性胆管拡張症に対するロボット支援腹腔鏡下胆管切除胆道再建術

演者 内藤 剛(東北大・肝胆膵外科DELIMITER東北大・胃腸外科)
共同演者 森川 孝則(東北大・肝胆膵外科), 海野 倫明(東北大・肝胆膵外科DELIMITER東北大・胃腸外科)
抄録 先天性胆管拡張症は若年女性に多く手術瘢痕の整容性は患者のQOLに大きく影響する.本症に対する腹腔鏡下手術はその低侵襲性や整容性は高く評価されているもが,手技的困難性や胆管膵管合流部の確認法の困難性から普及しているとは言いがたい.我々は2011年から本症に対する腹腔鏡下手術を導入し,2012年5月からはda Vinci surgical systemを用いたロボット支援手術を開始した.今回その手技と成績について報告する.手術施行症例は3例で,平均年齢は35才(20-51才),男女比は2:1例であった.戸谷分類では全例が1型.ペイシャントカートは患者の頭側やや右側からドッキングし,まずDome-downテクニックにて胆摘を施行.胆管の剥離授動を行った後に肝側の胆管を自動縫合器にて切離,胆管を腹側に牽引しつつ膵を脱転し膵内胆管の剥離を行う.膵管合流部は術中胆道造影で確認,合流部付近で結紮切離している.再建は後結腸ルートでRoux-en-Y肝管空腸吻合を行う.4-0 monofilament吸収糸にて連続一層縫合を行っている.1例目ではすべての手技をロボット支援手術で行ったが,小腸切離,Roux-en-Y吻合がロボット支援手術で困難であったため,2例目以降は同操作は通常腹腔鏡下で行い,その後ロボット支援手術を行っている.手術時間は534分.術中合併症は経験していないが1例で術後2ヶ月目に空腸脚が結腸間膜を通過する部位で閉塞となり,腹腔鏡下に閉塞を解除した.膵液瘻や縫合不全は認めていない.ロボット支援手術は狭い術野での縫合を伴う手術で有用性が高い.ただしエネルギーデバイスが限られていることや経済的コストが高いことから現時点ではその有用性には疑問が残る.しかし手ぶれがなく,スケーリング効果で細かい操作が可能なことから,本手術の最も難易度が高い肝管空腸吻合に対する有用性は高く評価できる.
索引用語 先天性胆管拡張症, ロボット支援手術