セッション情報 シンポジウム13(消化器外科学会)

肝胆膵外科領域におけるロボット・腹腔鏡下手術の現状と課題

タイトル 外S13-7指:

肝胆膵外科における内視鏡手術の功罪

演者 趙 明浩(千葉県がんセンター・消化器外科)
共同演者 山本 宏(千葉県がんセンター・消化器外科), 貝沼 修(千葉県がんセンター・消化器外科)
抄録 【背景】今日, 消化管外科のみならず肝胆膵外科においても内視鏡手術はその適応を拡大しながら爆発的に普及してきており, 近い将来, 開腹手術を凌駕する手術が展開してくることさえ予想される. しかし内視鏡手術は良性疾患や低悪性度疾患, 再建を必要としない手術には大変良い適応と考えられるが, 高度進行癌が多い膵・胆道癌では浸潤傾向が強く, 大血管や他臓器に浸潤していることも稀ではなく, 内視鏡手術は適さないと考えられている.  【目的】われわれが経験した膵・胆道癌に対する各種腹腔鏡下切除術の手術手技をビデオで供覧し, さらに短期成績を報告し, その功罪について考察する.【供覧症例】通常型浸潤性膵管癌に対するトライツ靭帯アプローチによる腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(Lap-PD)およびradical antegrade modular pancreatosplenectomyによる膵体尾部切除(Lap DP), 胆嚢癌に対する肝床部および肝外胆管切除(Lap GB bed+BD), 胆管癌に対する肝膵同時切除(Lap-HPD).【結果】各種の高難度手術も内視鏡手術は可能であるが, 手術時間が極めて長い傾向があった. また通常型浸潤性膵管癌症例において, 開腹手術とcase-match studyを施行したが生存率に有意差は認められなかった.【考察】内視鏡手術の功罪の功は1. いうまでもなく創が小さいこと 2. 拡大視効果による精緻な手術 3. 出血量が少ない 4. 新しい解剖学的知見が得られる 5. 手術過程を全員が共有できる 4. したがって若い外科医の習得が早く, learning curveがくやしいぐらい早い. 罪は1. 手術時間が長い 2. 麻酔科やCo-Medicalを長時間拘束する(したがって嫌がられる) 3. コストがかかる 4. 廃棄物が多い 5. 外科医間の溝が深まる. 今後, 内視鏡(含ロボット)手術を肝胆膵外科に広く適応していくためには, 開腹手術に劣らない安全性や根治性を示していくだけではなく, 開腹手術を凌駕するような新しい技術革新や手術手技の開発が必要だと考えられる.
索引用語 肝胆膵外科, 内視鏡手術