セッション情報 シンポジウム13(消化器外科学会)

肝胆膵外科領域におけるロボット・腹腔鏡下手術の現状と課題

タイトル 外S13-10:

High-volume centerにおける腹腔鏡下肝切除のtrend

演者 高原 武志(岩手医大・外科)
共同演者 新田 浩幸(岩手医大・外科), 若林 剛(岩手医大・外科)
抄録 腹腔鏡下肝切除は,2010年に部分切除と外側区域切除が保険収載となってから,施行施設数・症例数とも増加傾向にある.また,2009年にLouisville statementとして腹腔鏡下肝切除の世界的方向性が呈示された.(Ann Surg. 2009 Nov;250(5):825-30.) 当教室では,1993年より腹腔鏡下肝切除を導入し,2002年に当教室オリジナルの腹腔鏡補助下肝切除を開発し(Ann Surg. 2010 Mar;251(3):450-3.),さらに2007年より連続して生体ドナー39例にこの術式を導入してきた.さらに,2010年より完全腹腔鏡下肝葉切除・区域切除・亜区域切除を積極的に導入してきた.今回,2011年から2年間にわたり,腹腔鏡下(補助下)肝切除110例の術式・短期手術成績を検討することで,腹腔鏡下肝切除の今後の方向性を模索したい.症例の内訳は,肝細胞癌 32例,転移性肝腫瘍 42例,胆道癌 7例,肝内胆管癌 5例,生体ドナー 14例,良性腫瘍 4例,その他 6例であった.系統的切除が77%であった.また,2011年度は完全腹腔鏡下/(完全腹腔鏡下+腹腔鏡補助下)が38.3%であるのに対し,2012年度は74%と,当教室では,補助下から完全腹腔鏡下へと手術手技が変遷してきた.110例中,開腹移行例はなく,完全腹腔鏡下から腹腔鏡補助下への移行例が2例であった.腹腔鏡下肝切除において,肝予備能が良好な葉切除は,的確なdevice選択・Pringle method・気腹圧を利用すれば,今後の目指すべき方向性になるのではないかと思われる.前区域切除・後区域切除・S5/6/7/8の亜区域切除に関しては,さらなる手術手技の追求が望まれる.また,腹腔鏡下肝切除において,術後短期成績の有用性は現在多数報告されてきているが,今後,国内での腹腔鏡下肝切除における長期的なoncological survivalの結果が重要であり,まず多施設でのretrospective studyを早急に企図する必要があると思われる.
索引用語 腹腔鏡下肝切除, 手術成績