セッション情報 シンポジウム14(消化器外科学会)

短期,長期成績からみた消化器外科手術における推奨再建術式

タイトル 外S14-3:

胃内容排出遅延からみた幽門側胃切除術,Roux-en Y再建法の検討

演者 松本 壮平(奈良県立医大・消化器・総合外科)
共同演者 高山 智燮(奈良県立医大・消化器・総合外科), 中島 祥介(奈良県立医大・消化器・総合外科)
抄録 【目的】逆流性食道炎,残胃炎の低下や縫合不全が少ないことから,幽門側胃切除Roux-en-Y再建(R-Y法)は増加しているが,胃内容排出遅延(DGE)は術後QOLの低下や在院日数の増加などをきたす,比較的頻度の高い合併症である.今回われわれはR-Y法におけるDGEにかかわる周術期因子について検討した.【方法】2003~2012年の間に胃癌に対しR-Y法を施行した170例中,他臓器合併切除,R1/2切除を除外した154例を対象に,DGEに関連する臨床病理学的因子を後ろ向きに検討した.【成績】DGEは17例(11%)にみられ,発症日の中央値は術後8日で,絶食期間の中央値は22日であった.患者因子である年齢,性別,BMI(25未満 vs 以上),併存疾患の有無や,深達度(T1 vs T2,3,4),リンパ節転移(N0 vs N1,2,3),ステージ(StageI vs II,III,IV),組織型(分化 vs 未分化)とDGEの有無には関連は認めなかった.手術因子ではアプローチ別(開腹 vs 腹腔鏡),郭清度(D1/D1+ vs D2),迷走神経温存の有無,胃空腸吻合(器械吻合 vs 手縫い),再建経路(結腸前 vs 後),出血量(中央値220ml 未満vs 以上),手術時間(中央値320分未満 vs 以上)ではDGEの有無との関連を認めなかったが,胃空腸吻合が順蠕動(n=14),逆蠕動(n=3)で逆蠕動のほうが少ない傾向みられた(p=0.08).また,経鼻胃管の挿入は順蠕動(n=6),逆蠕動(n=0)で逆蠕動が少なく(p=0.055),21日以上経口摂取の中止を必要とした重症のDGE症例は順蠕動(n=7),逆蠕動(n=0)で逆蠕動が有意に少なかった(p=0.038).【結論】DGEの発症率を低下させるためには逆蠕動方向の吻合が適している可能性が示唆された.
索引用語 胃内容排出遅延, 幽門側胃切除