セッション情報 |
シンポジウム14(消化器外科学会)
短期,長期成績からみた消化器外科手術における推奨再建術式
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タイトル |
外S14-4:上部胃癌に対する噴門側胃切除術後Double tract再建法の有用性
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演者 |
滝口 伸浩(千葉県がんセンター・消化器外科) |
共同演者 |
永田 松夫(千葉県がんセンター・消化器外科), 鍋谷 圭宏(千葉県がんセンター・消化器外科) |
抄録 |
【目的】上部早期胃癌に対する術式は胃温存の可能性や食道逆流などの術後障害について多くの議論がなされてきた.近年増加傾向にあるU領域胃癌,胃接合部癌の切除術式として,噴門側胃切除術が注目されている.今回,噴門側胃切除術の再建術式として我々が行っているDouble tractを評価した.【方法】D1+郭清とともに,残胃は1/2以上の大きさとする.double tract法(DT)は,胃全摘Roux en Y再建法と同様に,食道空腸吻合,およびY吻合を施行後,吊り上げた空腸の背側に残胃がくるように,食道から約10cmの空腸に吻合口が作成されるように残胃小彎より前壁と空腸を自動縫合器で側側吻合する.空腸パウチ間置法(IP)は導管10cmパウチ6cmの間置再建である.食道残胃吻合法(EG)は,残胃小彎で食道残胃吻合を行う.各術式について術後合併症と長期的評価として,自覚症状,投薬内容,内視鏡所見で評価した.【結果】年齢67.9±9.0歳.PG75例中,DT;28例(腹腔鏡21例,開腹7例), IP;34例,EG;13例.DTの術後合併症は腹腔内感染による1例(3.6%).術後在院日数はEG12.9日,IP16.6日,DT12.2日.逆流や腹満の愁訴はEG 54%,IP 32%,DT5%.体重減少率はEG18.3%,IP21.3%,DT11.9%,術後BMIはEG19.0,IP17.6,DT20.9,食事摂取量は術前比でEG69%,IP72%,DT87%であった.退院後の誤嚥性肺炎がEG7.7%,IP6.5%であったが,DTは0%であった.イレウスも経験していない.内視鏡は各群とも胃内観察不能例はなく,食道炎がEG34%,IP9.7%,DT6.7%であり,残胃内残渣はEG55.5%,IP48.4%,DT26.7%で,残胃の癌は3例(4%)に発見され,残胃観察の重要性が示された.H2ブロッカーかPPIの投与既往はEG76.9%,IP25.8%,DT4.8%で他群に比し有意に少なかった.HbはEG12.6g/dl,IP12.8 g/dl,DT12.9 g/dl,Alb はEG4.1 g/dl,IP4.2 g/dl,DT4.1 g/dlで差がなかった.【結語】ダブルトラクト法は,短期手術成績および長期QOL,内視鏡所見からみて有用な噴門側胃切除術後再建法であり,胃接合部癌の再建法としても期待される. |
索引用語 |
噴門側胃切除術, 再建 |