セッション情報 シンポジウム14(消化器外科学会)

短期,長期成績からみた消化器外科手術における推奨再建術式

タイトル 外S14-8:

超低位直腸癌に対する内肛門括約筋切除における結腸Jパウチ再建術式の短期・長期成績

演者 小山 基(弘前大大学院・消化器外科学)
共同演者 村田 暁彦(弘前大大学院・消化器外科学), 袴田 健一(弘前大大学院・消化器外科学)
抄録 【目的】超低位直腸癌に対する究極の肛門温存術として内括約筋切除術(ISR)が導入されてきたが,ISRでは排便機能障害が高頻度に発生し,術後QOL低下は回避し得ない.今回,術後障害の軽減を目的とした結腸Jパウチ再建法の短期・長期成績を明らかにして,本再建法の有用性を検証する.【対象と方法】(1)2000-2010年に経験したISR治癒切除106例を対象として,結腸Jパウチ再建(J群65例)とストレート再建(S群41例)で臨床病理学的背景因子と術後合併症を比較検討した.(2)郵送式アンケートが可能であった76例(J群53例,S群23例)を対象として,平均追跡期間5.6年の長期成績を比較検討した.排便機能はWexner score(WS),排便QOLはmFIQLを用いて評価した.さらに,ISRの排便機能障害に関与している危険因子を解析した.【結果】(1)J群とS群の両群間で背景因子(性別・年齢・ISR切除術式・病期など)に有意差は認めなかったが,術後合併症はJ群に少なく(J群18%,S群37%;p=0.037),特に縫合不全は有意に少なかった(J群9%,S群29%;p=0.008).(2)ISRの1日排便回数は平均4.0回で,便意なしは20%,排便排ガスの区別不可能は45%,Urgency15分未満は59%,肛門周囲炎は36%.J群では排便回数(J群3.3,S群5.5;p=0.003)・排便排ガスの区別(J群36%,S群65%;p=0.018)・Urgency(J群45%,S群87%;p=0.001)・肛門周囲炎(J群26%,S群57%;p=0.012)の各項目でS群より有意に機能良好であった.WSの平均はJ群7.2点,S群11.3点で,WS13点以上の排便機能不良例はJ群で有意に少なかった(J群21%,S群48%;p=0.017).mFIQLの平均はJ群35.7点,S群51.0点で,mFIQL50点以上の排便QOL不良例はJ群で少なかった(J群32%,S群55%;p=0.102).ISRにおける排便機能障害の危険因子を解析すると,WSの多変量解析で性別(男性)・再建法(S群)・外括約筋切除が有意な機能不良因子であり,mFIQLの多変量解析では性別(男性)・年齢(75歳以上)が有意な因子であった.【結論】術後合併症や術後長期の排便機能・排便QOLの観点から,ISRの再建法には可能な限りJパウチを選択すべきである.
索引用語 内肛門括約筋切除, 結腸Jパウチ