セッション情報 |
シンポジウム14(消化器外科学会)
短期,長期成績からみた消化器外科手術における推奨再建術式
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タイトル |
外S14-12指:長期成績を見据えた安全な膵頭十二指腸切除術の開発
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演者 |
谷 眞至(和歌山県立医大・2外科) |
共同演者 |
川井 学(和歌山県立医大・2外科), 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科) |
抄録 |
【目的】膵切除後合併症の減少を目指し,膵切除に関する臨床試験を行ってきた.【膵頭部切除における術式の開発】胃排泄遅延減少のために十二指腸空腸吻合の結腸後再建に対する結腸前再建の有用性(結腸前再建; 5% vs.結腸後再建; 50%,Ann Surg2006)およびPpPDに対する幽門輪切除膵頭十二指腸切除術(pylorus resecting PD:PrPD)の有用性(PpPD;17% vs. PrPD;4.5%, Ann Surg 2011)を証明した.膵腸吻合部には膵管チューブを挿入することが多いが,膵管チューブの意義について,体外ドレナージとロストチューブを比較する臨床試験を行い,体外ドレナージ(中央値24日)に対するロストチューブ(中央値21日)の意義と安全性を証明した(Am J Surg2009).術後管理としてドレーン留置期間に関する前向き研究(ドレーン術後8日目抜去群vs.術後4日目抜去群)を行った.ドレーン長期留置は腹腔内感染の危険因子(オッズ比6.7)となりドレーン早期抜去の必要性を証明した(Ann Surg2006).しかし,術後4日目の血清アルブミン値≦3.0g/dLかつ白血球数>9,800/mm3の症例は膵液瘻が重篤化する可能性が高く注意が必要である(World J Surg2009).【膵腸吻合法と長期成績】2003年から2012年の膵管空腸粘膜吻合法のgrade B/C膵液瘻の発生率は11.7%であり,更なる改良が必要であるが,膵癌以外の疾患では多数長期生存例も認められ,術後長期の消化吸収能を無視することはできない.以前に膵管粘膜空腸吻合を行っていなかった症例では術後6か月で45%もの症例が膵管拡張を来した(World J Surg2005).われわれは13Cを用いた脂肪吸収試験によるretrospective studyを行っており,脂肪吸収能からも膵管空腸粘膜吻合法を推薦したい.【結語】臨床試験結果に基づいき,短期だけでなく長期成績を踏まえたより安全な膵切除術が可能になる |
索引用語 |
膵頭十二指腸切除, 臨床試験 |