セッション情報 シンポジウム15(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

消化器癌に対する分子標的薬-最近の動向

タイトル 消S15-2指:

消化管がんに対する分子標的治療の現況と展望

演者 馬場 秀夫(熊本大大学院・消化器外科学)
共同演者
抄録 消化器癌に対する治療法は長足の進歩を遂げ,従来の抗がん剤に加え,分子標的治療の登場により,生存期間の延長が認められるようになってきた.
進行・再発胃癌に対してはS-1+CDDPが標準治療であるが,Her 2陽性胃癌に対してはXP+Tの有効性が示され,我が国におけるHer2陽性胃癌症例の頻度も多数例での解析で明らかとなってきた.Her2陽性胃癌に対してはXP(SP)にHerceptinを加えpCRの症例も経験している.また,S-1+DOCもS-1単剤に比較し,有意に生存期間を延長することが示され,特に低分化型胃癌に対しては,高い有効性が期待される.一方,大腸癌に対してはFOLFIRI,FOLFOX加え,分子標的治療薬であるBevacizumabやCetuximab,Panitumumabが登場し,生存期間の延長が顕著である.CmabやPmabはKras wild typeに効果があり,約40%の症例で治療の適応がある.さらに,Regorafenibが保検適応となり,3次,4次治療として本年から使えるようになると治療の選択肢が増えるとともに,更なる長期生存が可能となる.
今後更なる,治療成績向上には,それぞれの薬剤に対するバイオマーカーの探索と共に,新たな標的分子薬とそれに基づく治療法の開発,特にcancer stem cellの同定と有効な治療法の確立が重要と考えられる.この領域の最近の研究知見に関して紹介したい.
一方,化学療法・分子標的治療法を継続するためには,副作用を極力軽減し,患者のQOLを維持するための支持療法を適切に行うことが必要不可欠である.
本発表では,最近の治療法の進歩・研究の最前線並びに支持療法の現況に関して紹介する.
索引用語 分子標的治療, 消化器癌