セッション情報 シンポジウム15(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

消化器癌に対する分子標的薬-最近の動向

タイトル 消S15-6指:

胆道癌・消化器神経内分泌腫瘍に対する分子標的薬-最近の動向

演者 奥坂 拓志(国立がん研究センター中央病院・肝胆膵内科)
共同演者 森實 千種(国立がん研究センター中央病院・肝胆膵内科), 池田 公史(国立がん研究センター東病院・肝胆膵内科)
抄録 胆道癌に対しては,ゲムシタビン+シスプラチン併用療法が第3相試験により延命効果を有することが最近報告され,本疾患において初めての標準治療として位置づけられることとなったが,患者の予後は依然きわめて不良である.分子生物学的な腫瘍発生や増殖のメカニズムの解明とともに,多くの種類の分子標的薬が胆道癌に対しても期待されており,複数の臨床試験が進められているが,標準治療薬としてエビデンスを示した薬剤はいまだ登場していない.
消化器神経内分泌腫瘍については,G1/G2(高分化型)の場合は,ストレプトゾシンを中心とした細胞傷害性抗がん剤が,またNEC(低分化型)には白金製剤をベースとした多剤併用化学療法がこれまで用いられてきた.最近,膵原発のNET G1/G2(高分化型)に対してエベロリムス,スニチニブなどの分子標的治療薬が第3相試験において無増悪生存期間の延長を示し,標準治療薬と位置づけられた.現在,ベバシズマブやエベロリムス(主に消化管)の第3相試験も進められており,本疾患に対する分子標的薬による新治療開発の機運が高まっている.
胆道癌,消化器神経内分泌腫瘍とも世界的には希少癌であり,薬物療法の開発が遅れている領域であるが,最近の臨床試験では分子標的治療薬を用いた研究も開始されており,新治療の確立に向けて地道な努力が続けられている.
索引用語 胆道癌, 神経内分泌腫瘍