セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Endoscopic oncology

タイトル 内S16-1:

食道腫瘍に対するESDの短期成績 ~Osaka Gut Forum参加施設における多施設後ろ向き研究~

演者 辻井 芳樹(大阪大・消化器内科DELIMITEROsaka Gut Forum 参加施設)
共同演者 西山 範(大阪府立急性期・総合医療センター・消化器内科DELIMITEROsaka Gut Forum 参加施設), 竹原 徹郎(大阪大・消化器内科DELIMITEROsaka Gut Forum 参加施設)
抄録 【背景】食道ESDは技術的難易度が高くこれまでHigh-volume center(以下HC)から良好な成績が報告されているが,Low-volume center(以下LC)を含む多施設での検討はほとんどない.【目的】LCを含む多施設での食道ESDの短期成績を検証する.【対象】2005年5月から2012年10月の間にOsaka Gut Forum(OGF)参加11施設で食道腫瘍に対してESDを施行した連続295症例のうち上皮性腫瘍290症例349病変.【方法】多施設共同後向きコホート研究で,偶発症・合併症の危険因子を解析し治療時期と施設治療件数から成績を検討した.治療時期は2009年末までを前期,2010年以降を後期とし,施設件数は30例以上をHCとした.【結果】男/女=239/51人,69±9歳.病変部位はU/M/L=57/206/82,腫瘍径21±13mm,肉眼型は隆起/平坦/陥凹/混合=33/120/189/7,組織型は異形成または上皮内腫瘍/扁平上皮癌/腺癌/不明=100(28.7%)/230(65.9%)/10(2.9%)/9(2.7%),SCCの深達度はEP73/LPM79/MM45/SM1 11/SM2以深22であった.治療時間は100±66分,一括完全切除は295病変(85%),治癒切除(腺癌を除くSM1以浅で断端陰性かつ脈管侵襲陰性)は259病変(76%)であった.偶発症・合併症は,穿孔・縦隔気腫を22例(6.5%),肺炎を6例(1.8%),術後狭窄を23例(6.8%)認めたが,いずれも保存的に軽快し,また後出血はなく低酸素脳症を1例認めた.治療関連因子による多変量解析では,治療時期が穿孔・縦隔気腫の(p=0.027),病変の周在が術後狭窄の(p<0.001)それぞれ独立危険因子であった.治療時期前期では有意に穿孔率が高く(10%vs4%),治療時間も長かった.HC・LC間で穿孔率と一括完全切除率に有意差はなかった.【結論】食道ESDは,HCと比しLCで差はなく最近は許容されうる治療成績で,胃ESDと同様に標準的治療として確立されつつある.
索引用語 食道癌, ESD