セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Endoscopic oncology

タイトル 内S16-2:

HER2陽性胃癌に対する適切な生検部位に関する検討

演者 大野 康寛(国立がん研究センター東病院・内視鏡/消化管内科)
共同演者 土井 利彦(国立がん研究センター東病院・内視鏡/消化管内科), 金子 和弘(国立がん研究センター東病院・内視鏡/消化管内科)
抄録 【目的】胃癌においてHER2蛋白の過剰発現は9-38%と報告され,HER2過剰発現が確認された治療切除不能な進行・再発の胃癌に対してトラスツズマの投与が認められている.しかし,胃癌に対しては腫瘍内のHER2発現の不均一が高いなどの特徴があり,適切な部位からの生検が必須であると考えられる.今回,HER2陽性胃癌の病理組織学的特徴および内視鏡画像を検討し,適切な生検部位を明らかにする事を目的とした.【方法】2008年1月から2013年3月までに,HER2検査を施行した進行胃癌306病変に対して,病理組織学的検討(肉眼・組織型・占拠部位など)および内視鏡画像による検討を行った.【成績】HER2陽性胃癌は306例中47例で,HER2陽性率は15.4%であった.また組織型による陽性率は,分化型27.1%(39/144)(Papでは75%),未分化型4.9%(8/163)であった.肉眼型による陽性率は,Type1:66.7%,Type2:20.1%,Type3:15.7%,Type4:4.6%であった.部位による陽性率は,食道胃接合部癌で9.5%(2/21),胃癌で15.8%(45/285)であった.内視鏡画像による検討では,腫瘍の表層伸展部や潰瘍周囲の粘膜内成分残存部において,乳頭状の組織像を反映していると考えられる延長した腫瘍血管を認めた場合,HER2の陽性率が高かった.【結論】組織型は分化型,肉眼型はI型において,HER2陽性の頻度が高い傾向にあったが,それ以外の病変に関しても,内視鏡による詳細な観察を行い,潰瘍周囲や表層伸展部の腫瘍血管を評価する事により,HER2陽性胃癌の拾い上げに寄与するものと考えられた.
索引用語 胃癌, HER2