セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Endoscopic oncology

タイトル 内S16-5:

大腸癌による大腸閉塞に対するbridge to surgery(BTS)目的の大腸ステント留置術および深部大腸評価のための経ステント大腸内視鏡検査(CS)の有用性

演者 吉田 俊太郎(東京大・消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】 2012年1月より大腸ステント留置術が保険収載され,本邦でもBTS目的のステント留置が広まっている.留置したステントを越え,深部大腸を術前に評価することは同時性病変を除外のために重要となる.今回,BTS目的のステント留置術および経ステントCSの有用性につき報告する.【方法】臨床試験(UMIN000004566)を開始した2006年2月からステント留置した75症例の中,BTSのため留置を行った大腸癌16症例につき,有用性および安全性を評価した.また,経ステントCSを施行した8例の検査成績を評価した.【結果】年齢中央値 77歳,男女比9:7,狭窄部位は右側2例(盲腸1例,横行結腸1例)で左側14例(下行結腸2例,S状結腸10例,直腸2例).病期はIIA 3例,IIB 2例,IIC 1例,IIIB 1例,IIIC 3例,IVA 3例,IVB 3例.入院からステント留置までの中央値は3.5日で,平均検査時間は40分,手技的および臨床的成功は共に100%であった.食事開始までの中央値は3日で,合併症は逸脱1例,出血2例および頻便1例で,輸血や緊急手術を必要としなかった.手術までの中央値は37日で,全例一期的吻合術であった.6例(37.5%)は腹腔鏡補助下手術であった.術後合併症は,肺炎1例,腸閉塞2例および出血1例で追加手術は不要であった.経ステントCS施行例は8例で,そのうち6例は全大腸観察が可能であった.PETにて口側病変が疑われた3例のうち,2例は偽陽性を確認し,1例はφ20mm深部高度異型腺腫をEMRにて切除した.CSの合併症を認めなかった.【考察】 BTS目的のステント留置術は安全かつ有用である.また,口側の内視鏡検査により他病変の評価が可能となり,より正確な術前診断が可能となる.
索引用語 大腸癌, ステント