セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Endoscopic oncology

タイトル 内S16-9:

膵臓癌診療における集学的な内視鏡的アプローチの有用性

演者 高木 忠之(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
共同演者 引地 拓人(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
抄録 [緒言]膵癌は,画像診断の向上により発見頻度が増しているが,いまだに治癒切除可能な症例は少なく集学的治療を要する.当施設におけるInterventional EUSを中心とした,膵臓癌診療におけるに内視鏡的アプローチの有用性を報告する.[診断]2001年1月から2013年2月までに膵腫瘤性病変417例に対してEUS-FNAを施行し,正診率は95.6%であった.膵癌は65.5%(273例)であり,その他は,転移性膵腫瘍,AIP,内分泌腫瘍,慢性膵炎などであった.したがって,治療方針の決定や化学療法のレジメン決定のためには組織学的確証を得る必要性があり,EUS-FNAの有用性は高い.[治療]1)化学療法・免疫療法:一次化学療法無効例に対しEUS-FNAにて採取した検体を用いた薬剤感受性試験を施行した.その中で,退形成膵癌でCRとなった症例を経験した.また,一次化学療法無効7例に対し,EUSガイド下に樹状細胞を腫瘍内に局注する免疫療法を試みており,平均生存期間9.9ヶ月(最長21ヶ月)の成績であった.2)除痛:癌性疼痛に対し,腹腔神経叢破壊術(CPN)を30例で施行し,有効率76.9%であった.3)減黄術:経乳頭的な減黄術を第一選択としているが,困難例に対しては通常PTBDが選択している.また,PTBD困難例に対してはEUS-FNAの手技を応用した経消化管的胆道ドレナージ(EUS-BD)を導入している.これまで8例(経十二指腸7,経胃1)で施行し,良好な減黄効果を得ている.EUS-BDは内瘻であるため,患者のQOLを低下させない点や生理的な胆汁流出ルートである点でも優れている.4)消化管狭窄解除:膵癌の直接浸潤による十二指腸閉塞9例に対してTTS type十二指腸ステントを留置した.全例留置可能で,偶発症は膵炎1例のみであった.GOOSSはステント留置後に有意に改善し,77.8%(7/9)で固形食まで摂取可能(GOOSS>3)となり,QOL改善に寄与した.【結語】Interventional EUSやTTS type消化管ステントなどの新しい内視鏡的アプローチ法の導入により,これまで診断や治療が困難とされてきた膵癌においても,適切な診療が可能となってきている.
索引用語 膵臓癌, EUS