セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

Endoscopic oncology

タイトル 内S16-12:

非切除悪性中下部胆道閉塞に対するWallFlex partially covered stentの有用性-多施設共同前向き研究-

演者 酒井 裕司(千葉大・消化器内科)
共同演者 露口 利夫(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科)
抄録 【背景】非切除悪性中下部胆道閉塞に対し,肝胆道系酵素の上昇を認める症例においてドレナージは,患者のQOLの改善,化学療法施行の際必須であると考えられている.ドレナージの際,金属ステント(MS)はプラスティックステントより開存期間が長いとされ,covered MSはingrowthを予防することで開存期間の延長が期待されるMSである.しかし,covered MSは,uncovered MSと比較すると一般的に挿入の際の胆嚢炎やmigrationなどの偶発症が多いとされている.2009年4月よりWallstentのaxial forceを低減させ,断端5mmがuncoveredでflareとなったWallFlex partially covered stent(WF)が使用可能となった.【目的】非切除悪性中下部胆道閉塞に対するWFの有用性を多施設共同前向き研究にて検討すること.【方法】2009年4月より2011年10月まで千葉県内の6施設において非切除悪性中下部胆道閉塞と診断しWFを挿入後30日以上の生存症例を対象とした.症例は97例.男性51例,女性46例,年齢72.5(45-90)歳疾患は,膵臓癌例80例,転移性胆道閉塞7例,胆管癌5例,胆嚢癌2例,乳頭部癌2例,IPMC1例であった.狭窄部位は,Bi86例,Bm~Bi6例,Bm5例であった.狭窄長は23(5~50.9)mmであった.閉塞に関しては,胆管炎や肝胆道系酵素の上昇により内視鏡的に再治療したものを閉塞とし,WF挿入後の閉塞率,WFの開存期間,生存期間,WF挿入後30日以内に生じた早期偶発症について検討した.【結果】WF挿入後100 (97/97)%で,肝胆道系酵素の改善が認められた.閉塞率は19.6(19/97)%で,原因は,sludge9例,migration4例,食残3例,不明2例,ingrowth1例であった.開存期間は,630.98日(mean),生存期間は,214.798日(mean),162.00日(median)であった.早期偶発症は,10.4(10/96)%で胆嚢炎4例,migration2例,膵炎2例,胆管炎1例,肝膿瘍1例であり,全て内科的治療で軽快した.【結語】WFは開存期間が長くその間の閉塞率も比較的低く有用なMSである可能性が示唆された.
索引用語 非切除悪性中下部胆道閉塞, WallFlex partially covered stent