セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会)

抗血栓薬と内視鏡-新ガイドラインの評価

タイトル 内S17-1:

当院における「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」の対応と検証

演者 大森 信弥(仙台赤十字病院・消化器内科)
共同演者 佐藤 俊裕(仙台赤十字病院・消化器内科), 中川 国利(仙台赤十字病院・外科)
抄録 【背景】2012年発表の“抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン”(以下,新GL)は,以前のガイドラインよりも詳細な指針となっているがゆえに,多種の医療従事者が関わる実際の現場での円滑な運用には一考を要する.また,新GLは,抗凝固薬・抗血小板薬(ACAP薬)休薬による血栓塞栓症の誘発防止をより重視して作成されており,内視鏡処置後出血の増加に不安を示す現場スタッフの声も少なくない.【目的】医療現場での新GLの円滑な導入/浸透を目指すこと.【方法】1) 新GLの各ステートメント・解説を参考にし,「目の前に診察にいらした患者様が,どのACAP薬を服用しているのか」という視点から,院内のガイドラインを作成・運用し,現場医療スタッフの意見を集約した.2)抗凝固薬の休薬時のみに効果があるとされる,「へパリン置換」について,抗血小板薬の休薬時における効果を検討した.【成績】1) 患者のACAP薬内服状況により,8通りのパターンに場合分けをし,各パターンについて,見開き1ページで内視鏡時の対応法を明示した院内ガイドラインを作成したことにより,約86%の医療スタッフから「分かりやすい」との評価を得た.2)2009年4月から2012年12月までに,観血的処置のため,抗血小板薬を休薬し,休薬中にヘパリン置換を行った症例は77例であった.処置後出血を5例(約6.5%)で認めたが,全例とも内視鏡的に止血し得た.周術期における血栓塞栓症の合併例は認めなかった.【総括】新GLの,内視鏡診療現場における円滑な運用について提示した.一方,新GLでは,抗血小板薬と抗凝固薬の併用例での処置に対し,前者対策としてaspirin/cilostazol置換,後者対策としてヘパリン置換を推奨している.本検討の結果では,抗血小板薬と抗凝固薬の併用例で,ヘパリン置換を行うのであれば,観血的処置前後という限定された期間に関しては,同置換のみで血栓塞栓症ヘの対応が可能であることが示唆され,内視鏡処置後出血の増加抑制につながり得ると考えられた.
索引用語 内視鏡, 抗血栓薬