セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会)

抗血栓薬と内視鏡-新ガイドラインの評価

タイトル 内S17-2:

新ガイドライン評価に向けてのhistorical controlとしての抗血栓薬の内視鏡検査における使用状況

演者 岩塚 邦生(東京医大病院・消化器内科)
共同演者 後藤田 卓志(東京医大病院・消化器内科), 森安 史典(東京医大病院・消化器内科)
抄録 【背景】新抗血栓薬服用者に対する消化器内科診療ガイドラインは,旧ガイドラインに比し欧米諸国同様に休薬に伴う血栓予防に重点を置いた.今後新ガイドラインに従った臨床報告が出てくると思われるが,対照となる旧ガイドラインに従った臨床データは明らかではない.【目的】historical controlとなるデータを得る目的で,当院における通常内視鏡検査時の抗血栓薬の休薬状況を後方視的に検討した.【方法】2011年4月1日から2012年3月31日まで当院にて上部消化管内視鏡検査を施行した4,574例のうち(男性2805,女性1769例,平均年齢63.4歳)抗血栓薬を内服していた542例(11.9%)の薬剤の中止状況と検査前後の患者情報を調査した.【成績】内服中の薬剤は,ワーファリン(WAR)が133例,低用量アスピリン(ASP)が312例,シロスタゾール(CILOS)が64例,クロピドグレル(CLOP)が59例,イコサペンタエン酸(EPA)が37例,リマプロストアルファデスク(PGE)が37例,チクロピジン(TIC)が29例,塩酸サルボグレラート(SAR)24例,ジピリダモール(DIPYR)が4例であった.なお上記薬剤2剤併用例が117例,3剤併用例が19例であった.不明例を除き旧ガイドラインに従った検査前休薬例が59.4 %(290/488)であり,休薬下に生検を行ったのは47.9%(139/290),非休薬群では 6.57%(13/198)でのみで生検が施行されていた.各薬剤の休薬率はWAR;37.4%,ASP;57.5%,CILOS;55.2%,CLOP;47.2%,EPA;72.2%,PGE;80%,TIC;57.7%,SAR;71.4%,DIPYR;50%.単剤内服例が64.6%,2剤内服例が47.2%,3剤内服例が25%であった.【考察】今回の集計では休薬は約60%で旧ガイドラインの遵守率は低かった.非休薬群の内服薬はWAR,多剤内服例が多くこれらの症例は基礎疾患として症候性脳梗塞,心血管ステント留置後などの血栓症ハイリスク群であった.また脳梗塞,狭心症に対するいわゆる1次予防としての休薬率は高い傾向にあった.今回の結果を基礎資料に今後は新ガイドラインに従った運用との比較を行う.
索引用語 抗血小板薬, 抗凝固薬