セッション情報 |
シンポジウム17(消化器内視鏡学会)
抗血栓薬と内視鏡-新ガイドラインの評価
|
タイトル |
内S17-14:大腸内視鏡治療における出血イベント発症
|
演者 |
蟹江 浩(名古屋第二赤十字病院・消化器内科) |
共同演者 |
野村 智史(名古屋第二赤十字病院・消化器内科), 折戸 悦朗(名古屋第二赤十字病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景と目的】抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインが公表され,当院でも院内でのコンセンサスを進め,2012年10月より本格的に対応している.高危険度手技と分類される大腸腫瘍性病変に対する内視鏡治療に対する出血イベント発症の実際について明らかにする.【方法】対象は2012年1月から2013年2月までに内視鏡治療を行った連続660症例1205病変である.治療手技はpolypec255 EMR855 EPMR22 ESD70であった.平均腫瘍径は9.1mm,最終病理所見はserrated adenoma20,tubular adenoma889(内severe dysplasia167),pM147,pSM31であった.抗血栓薬の内服状況の実態について検討した.新ガイドライン遵守状況による後出血,術中出血などの出血イベント発症を検討した.新ガイドラインの条件を遵守した群を「新GL群」,旧ガイドラインの条件を遵守した群を「旧GL群」,抗血栓薬内服歴がない群を「内服なし群」と分類して検討した.【成績】1)抗血栓薬内服状況:抗血栓薬内服下の切除病変は,190病変15.8%であった.内服薬の内訳は,単剤141病変(アスピリン61,チエノピリジン13ワルファリン42ダビガトロバン4),2剤併用40病変(アスピリン+チエノピリジン8,アスピリン+ワルファリン11),3剤併用8病変(アスピリン+チエノピリジン+ワルファリン6)であった.2)出血イベント発症:全症例における後出血は11病変0.9%,術中出血は6病変0.5%であった.各群の後出血率は,新GL群2/90(2.2%),旧GL群0/100(0%),内服なし群9/1015(0.89%)であった.新GL群の後出血例はアスピリン継続した1例と抗凝固薬内服例に対するヘパリン置換した1例であった.発症時期は,それぞれ治療後9日目と5日目と,内服なし群と較べ,遅れて発症する傾向があった.【結論】抗血栓薬を内服している頻度は15.8%であった.新ガイドラインを遵守した大腸内視鏡治療において,後出血率は若干の上昇にとどまっていた. |
索引用語 |
抗血栓薬, 大腸内視鏡 |