セッション情報 |
シンポジウム17(消化器内視鏡学会)
抗血栓薬と内視鏡-新ガイドラインの評価
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タイトル |
内S17-15:胆膵領域の出血高危険度内視鏡(EST,EUS-FNA)における新ガイドラインの評価~抗血小板薬の非休薬例における安全性の検討~
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演者 |
友田 健(福山市民病院・内科) |
共同演者 |
植木 亨(福山市民病院・内科), 名和 徹(福山市民病院・内科) |
抄録 |
【目的】胆膵領域の出血高危険度内視鏡であるESTやEUS-FNA(以下FNA)において,新ガイドラインで推奨している抗血小板薬継続下での処置の安全性については報告も少ない.当院では2010年10月より院内規定として,血栓塞栓症の高リスク例においては,ESTやFNAにおいてもアスピリン(ASA)単剤であれば非休薬の方針とし,ガイドライン改定後からはシロスタゾール(CLZ)も非休薬の方針としてきた.今回,新ガイドラインの評価のために,これらの抗血小板薬の非休薬下にESTやFNAを施行した症例の出血性偶発症の頻度を,非服用例および休薬例と比較検討した.【方法】対象は2010年10月から2013年2月に,連続して施行したERCP863例中のEST312例と診断的FNA142例.抗血栓薬の休薬は処方科と相談し,高リスク例ではASAとCLZは継続とした.それぞれの処置での非服用群/休薬群/非休薬群の症例数はEST:238(76.3%)/45(14.4%)/29(9.3%),FNA:114(81%)/15(10.5%)/12(8.5%)であった.これらの3群間で患者背景,手技成功率,術中術後出血率などを検討した.尚,術中出血は処置を中断して観察や止血を要したもの,術後出血は顕性の吐下血またはHb2g/dl以上の低下を認め内視鏡やCTで確認したものとした.【結果】患者背景ではEST,FNAとも抗血栓薬の非服用群は有意に若年であった.それぞれの手技の成功率などに3群間で差は認めなかった.出血性偶発症の頻度は非服用群/休薬群/非休薬群で,EST術中16(6.7%)/3(6.7%)/2(6.9%), 術後6(4.4%)/2(4.4%)/0(0%)で全例内視鏡的に止血可能であった.FNA術中は2(1.8%)/1(6.7%)/1(8.3%)に軽度の管腔内出血を認め,術後出血は認めず,EST,FNAとも3群間に有意差を認めなかった.【結論】新ガイドラインの推奨どおりASAやCLZ単剤であれば,非休薬例においてもESTやEUS-FNAは出血性偶発症の増加を認めず安全に施行可能と思われた.今後は多施設での症例集積が必要と考えられる. |
索引用語 |
抗血小板薬, ガイドライン |