セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会)

抗血栓薬と内視鏡-新ガイドラインの評価

タイトル 内S17-16:

当院におけるESTの現状と抗血栓薬内服例における出血リスクの検討

演者 石垣 賀子(社会保険小倉記念病院・消化器科)
共同演者 牟田口 真(社会保険小倉記念病院・消化器科), 吉田 智治(社会保険小倉記念病院・消化器科)
抄録 (目的)高齢化に伴いERCPを施行する際,抗血栓薬内服例が増加している.抗血栓薬休薬による血栓症は稀ではあるが,致命的あるいは恒久的障害となりうるため未然に予防することが肝要である.事前に専門医と相談し休薬しても,稀ではあるが血栓症発症は経験される.当院では積極的に休薬期間を短縮あるいは内服継続下にESTを行っている.当院における抗血栓薬内服症例に対するESTの出血リスクについて検討した. (方法)2012年4月から2013年2月までにESTを施行した106例(年齢37~93歳,中央値75歳,男性64例女性42例)を対象とした.出血リスクについて抗血栓薬内服54例と非内服52例の比較,また抗血栓薬内服群のうちガイドラインに準じて休薬した23例と休薬期間を短縮・内服継続した31例(うち内服継続19例)について比較検討した.(結果)治療目的は胆管結石治療85例(80%),精査17例(16%),ステント留置(3%)であった.基礎疾患は心血管系58例(55%),脳血管系14例(13%),維持透析7例(6%),抗血栓薬内服は54例(50.9%)であった.偶発症は術中出血10例(9%),後出血3例(2%)であった.術中出血は抗血栓薬内服群54例中6例(11%),非内服群52例中4例(8%),後出血は内服群54例中1例(1%),非内服群52例中2例(3%)で,いずれも有意差を認めなかった.内服群の後出血は1例で,維持透析患者でガイドラインに準じ休薬した症例であった.ガイドライン通り休薬した23例中1例に後出血あり,休薬短縮した31例はいずれも後出血を認めなかった.休薬短縮例のうち19例(アスピリン16例,クロピドグレル1例,その他2例)は抗血栓薬内服継続下にEST施行したが後出血を認めなかった.休薬短縮の2例にはEST後にEPLBDを付加したが出血は見られなかった.また対象全例について治療前後の血栓性合併症は認めなかった.(結論)抗血栓薬休薬期間短縮および内服継続例についてもESTは安全に施行可能であった.
索引用語 EST, 抗血栓薬