セッション情報 |
シンポジウム17(消化器内視鏡学会)
抗血栓薬と内視鏡-新ガイドラインの評価
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タイトル |
内S17-17:抗血栓薬内服における上部消化管出血患者の背景と変遷
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演者 |
山口 太輔(佐賀大附属病院・消化器内科) |
共同演者 |
樋口 徹(佐賀大附属病院・消化器内科), 岩切 龍一(佐賀大附属病院・光学医療診療部) |
抄録 |
【目的】高齢人口の増加により,アスピリンを含む抗血栓薬内服患者は増加傾向にある.抗血栓薬の主要な副作用として消化管障害があり,臨床上重要な問題である.今回抗血栓薬内服患者において緊急内視鏡下に止血術行った上部消化管出血(AUBIG)患者の患者背景や時代変遷について検討したので報告する.【方法】対象は2002年から2011年の間,当院において止血術を要したAUBIG患者430例.抗血栓薬内服状況及び前期(2002~2006年)と後期(2007~2011年)の時代変遷や,患者背景,治療成績,基礎疾患の検討を行った.また同期間に当院で抗血栓薬を内服していた11919例の中でのAUGIBの発症状況,特徴について検討した.【成績】AUBIG患者は前期186例,後期244例と増加していた.原因疾患として消化性潰瘍が87%と最も多かったが,逆流性食道炎からの出血など潰瘍以外の原因も後期には増加していた(p=0.028).患者背景として高齢者が多く,抗血栓薬起因性のものが増加し(p=0.012),ピロリ菌感染率は減少していた(p=0.001).抗血栓薬内服患者での死亡率や止血率,再出血率,輸血量は他原因によるAUBIGと比べ有意な差は認めなかった.抗血栓薬内服患者でのAUBIGでは,主要な基礎疾患である心血管障害,脳血管障害以外に高血圧症や糖尿病も危険因子と考えられた(p=0.000).期間中の抗血栓薬内服患者11919例の中でAUBIG発症患者は120 例(1.01%)であった.中でも抗血栓薬多剤内服患者は出血のリスクは高かった(p=0.011).胃酸分泌抑制剤(PPIないしH2blocker)内服者ではAUBIG発症は有意に抑制されていた(p=0.000).【結論】高齢人口の増加により,近年は抗血栓薬内服を原因とするAUBIGが増加しており,潰瘍以外の病変からの出血も増加していた.抗血栓薬内服患者でのAUGIB発症頻度は1.01%であった.胃酸分泌抑制剤併用により出血の予防効果が示唆された. |
索引用語 |
上部消化管出血, 抗血栓薬 |