セッション情報 シンポジウム18(消化器外科学会)

新時代の消化器癌標準手術 ≪ビデオ≫

タイトル 外S18-4:

術前3Dシミュレーションを併用した,下部進行直腸癌・重点領域に対する側方郭清術

演者 金光 幸秀(国立がん研究センター中央病院・大腸外科)
共同演者 志田 大(国立がん研究センター中央病院・大腸外科), 小森 康司(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科)
抄録 【はじめに】下部進行直腸癌に対する側方郭清術には,リンパ流理解の上に立った正しい実践が求められ,転移頻度と治療効果から重要な部位は,内腸骨中枢リンパ節(#263P),内腸骨末梢リンパ節(#263D),閉鎖リンパ節(#283)リンパ節である.【対象と方法】1975年から2009年までに,前任施設で系統的側方郭清術を施行した根治度Aの下部直腸癌518例中(pSM:n=12,pMP:n=173,pA:n=289, pAi:n=44),側方転移陽性は82例(15.8%)に認められた.なかでも,#263P,#263D,#283リンパ節の転移率が高く,各リンパ節の転移率は#263P=7.5%,#263D=5.2%,#283=6.0%であった.これら側方転移陽性例の5年全生存率は45.2%と比較的良好であり,側方郭清術には一定の治療効果が確認されることから,内腸骨動脈から内陰部動脈にかけての深い領域が重要な郭清野と考える.特に#263Dは,直腸間膜リンパ節転移を介さない単独での転移様式が,転移陽性中29.6%と有意に高く認められ(vs.#263P=12.8%,#283=12.9%),この領域が直腸側方リンパ流の源流である可能性が高く,適確に郭清するためには,上膀胱動脈レベルで膀胱下腹筋膜を破り内腸骨動脈との間の「窓」を大きく開け,これに膀胱側間隙を開き腹膜外からの操作を加える腹膜外ルートから,下膀胱動静脈をはらった内陰部動静脈を尾骨筋に入るまで郭清する方法が有用である.この際に下膀胱動静脈は破格が多く,時に非常に太い静脈を認めるため,現在では,MDCTにより構築した3Dシミュレーションを術前に併用し非常に有用である.実際の手術手技と3Dシミュレーション像を供覧する.
索引用語 直腸癌, 側方郭清