セッション情報 シンポジウム18(消化器外科学会)

新時代の消化器癌標準手術 ≪ビデオ≫

タイトル 外S18-7:

胆道,膵悪性腫瘍に対する標準的腹腔鏡下膵切除術の手術手技

演者 松下 晃(日本医大・外科)
共同演者 中村 慶春(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【緒言】腹腔鏡下手術は手術に携わる者全員の視覚能力を増幅させ,その結果より繊細な手術操作を行っていくことができる.ただし腹腔鏡下手術は開腹術と比べ手術操作の自由度は制限され,さらに術者の手指触覚は鈍化する.これらの点を補いながら視覚の増幅という利点を最大限に利用するためには,的確な術野の展開法を構築する必要がある.我々は現在までに腹腔鏡下膵切除術を153例に施行しその有益性について報告してきた.今回,胆道,膵悪性腫瘍に対する標準的術式の手術手技について考察した.【対象の内訳】術式別の内訳は,膵体尾部切除術(Lap-DP)が106例,膵頭十二指腸切除術(Lap-PD)が43例,核出術が4例であった.153例中原因疾患が胆道癌であった症例は19例(胆管癌10例,乳頭部癌9例)で全例Lap-PDを施行した.膵悪性腫瘍38例中膵管癌は28例,転移性膵腫瘍5例,NEC4例,その他1例で,Lap-PDを13例にLap-DPを25例に施行した.【手術手技】我々はLap-PDにおいて,laparoscopic left mesenteric approachにより,SMA左側で間膜を扇状に展開し,膵頭神経叢2部の郭清とIPDAの先行処理を良好な視野の基で確実に行っている.また膵臓の背側を遊離し前方に挙上すると,膵背側から8,9,11番のリンパ節と膵頭神経叢1部の郭清を,確実な視野展開のもとに行うことが可能である.そして胆管および膵離断後の胆汁,膵液飛散に伴う腫瘍細胞seedingを防ぐ為,胆道癌での胆管切離,膵悪性腫瘍での膵切離は切除の最終段階で行い,さらに膵は自動縫合器で切離し断端を閉鎖している.膵腸吻合に関し,そのqualityを確保する為,膵切離断端の直上に作成した4-5cmの小切開創を利用し開腹術と同一の膵腸吻合を直視下に行っている.Lap-DPでは副腎摘除を含めた後腹膜組織の郭清手技を,左肋弓が術野にかかってしまう開腹術よりも確実に術野を展開しながら行っていく事が可能である.【結語】我々の胆道,膵悪性腫瘍に対する腹腔鏡下膵切除術は腹腔鏡の利点を最大限に活用した標準的術式であると考えられるためそのビデオを供覧する.
索引用語 腹腔鏡下膵切除術, 標準的術式