セッション情報 | ワークショップ8(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)消化器疾患と胆汁酸 |
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タイトル | 消W8-2:食道腺がん発がん過程における胆汁酸受容体FXRの活性化を介したCDX2蛋白分解動態の検討 |
演者 | 松崎 潤太郎(慶應義塾大・消化器内科) |
共同演者 | 鈴木 秀和(慶應義塾大・消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】バレット腺がんの形成には食道への胆汁酸逆流の関与が指摘されている。我々は腸上皮化生を誘導する転写因子CDX2の蛋白発現量が、バレット食道から腺がんへの発がん過程で減少する点に着目し、CDX2が細胞増殖抑制効果を持つことと、胆汁酸がCDX2蛋白のプロテアソーム分解を促進することを発見した。今回、CDX2分解刺激を伝達する胆汁酸受容体を明らかにし、またCDX2分解を促進するmiR-221/222とその標的遺伝子であるp27Kip1の挙動を評価した。 【方法】ヒト食道扁平上皮細胞株HET1AにCDX2発現ベクターを導入した細胞(HET1A+Cdx2)を作製し、胆汁酸受容体(FXRおよびTGR5)刺激薬に曝露した際のCDX2蛋白量、miR-221/222およびp27Kip1発現量の変化を評価した。またヒト食道腺がん細胞株OE33を用い、miR-221/222機能阻害時の細胞増殖の変化を評価した。 【成績】HET1A+Cdx2において、CDX2蛋白はFXR刺激薬の濃度依存的に分解が促進されたが、TGR5刺激薬は効果を示さなかった。FXR刺激によってHET1A+Cdx2におけるmiR-221/222発現は上昇し、その標的であるp27Kip1発現は低下した。またOE33はFXR刺激下でmiR-221/222の阻害によりCDX2蛋白量の上昇とともに細胞増殖が抑制された。 【結論】FXRを介した胆汁酸刺激がmiR-221/222発現を亢進させ、CDX2蛋白分解を促進させた。miR-221/222を阻害することで細胞増殖が抑制され、食道腺がんの新たな分子標的になりうると考えられた。 |
索引用語 | 食道腺がん, FXR |