セッション情報 シンポジウム19(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

GERDにおける内視鏡診療の進歩

タイトル 内S19-3:

PPI抵抗性NERDにおける内視鏡所見と多チャンネルインピーダンスpHモニタリングによる機能評価との関連についての検討

演者 藤原 靖弘(大阪市立大・消化器内科)
共同演者 木幡 幸恵(大阪市立大・消化器内科), 荒川 哲男(大阪市立大・消化器内科)
抄録 【背景】NERDの約50%はPPI治療に抵抗を示し,逆流の関与しない機能性胸やけとの鑑別が重要である.一方,発赤・白濁などのGrade Mの内視鏡所見の意義について議論が多い.多チャンネルインピーダンスpHモニタリング(MII-pH)はあらゆるタイプの逆流や近位食道側への逆流も評価できる方法である.【目的】PPI抵抗性NERD においてMII-pH施行した症例と内視鏡所見を対比検討する.【方法】MII-pH を施行したRabeprazole 10mg, 2錠倍量分割投与でも症状の改善しないNERD38例についてOn PPIにてMII-pHおよび内視鏡検査が行われ,食道運動異常など他の原因であった症例および内視鏡画像評価困難を除外した34例(平均年齢57.8歳,男性17例)を対象とした.内視鏡所見は,(1)EGJにおける白濁,発赤,血管透見不良およびその周在性,(2)食道中部における血管パターン(木暮らの分類),(3)ヘルニア,Flap valve分類,(4)萎縮性胃炎の程度を検討した.MII-pHの結果,(1)疾患分類(酸逆流群,弱酸逆流群,機能性胸やけ=FH群),(2)近位食道逆流回数(30回/日以上を陽性)と比較した.【結果】MII-pHによる疾患分類では酸逆流群8例,弱酸逆流群17例,FH群9例であり,それぞれの内視鏡所見陽性率は,白濁(13%, 52%, 44%),発赤(25%, 24%, 0%),血管透見不良(13%, 12%, 22%),ヘルニア(88%, 35%, 56%),異常FV(63%, 35%, 44%),萎縮性胃炎(13%, 29%, 78%)であった.酸逆流群は萎縮が少なくヘルニア,異常FVが多かった.全周性に白濁を認めた5例はすべて弱酸逆流群であった.FH群では萎縮性胃炎を高頻度に合併していた.一方,胸部食道における血管増生は近位側逆流陽性16例中8例(50%)に認め,近位側逆流陰性(8%)に比較して有意に高率であった(P=0.019).【結語】内視鏡所見とMII-pHによる機能評価とは一部において相関が示唆された.
索引用語 GERD, MII-pH